炭水化物に含まれる「ハイパー食物繊維」
炭水化物が健康維持に欠かせないのは、糖質がエネルギー源になるためだけではありません。「炭水化物=糖質」と認識している人が多いですが、実は炭水化物の中には「食物繊維」がたっぷり詰まっています。
食物繊維と聞くと、野菜をイメージするかもしれません。ですが、お米は摂取している食物繊維量のうちの10パーセント以上を占めており、これは全品目の中で第1位です。グラム当たりの含有量は1位ではありませんが、主食として毎日のように食べるため、結果として、お米から食物繊維をもっとも摂取していることになります。
つまり、炭水化物を食べないことは、そのまま食物繊維不足に陥ることを意味しているのです。糖質制限中に便秘になる人が多いのはこのためです。
さらに、炭水化物には普通の食物繊維とは異なる、ハイパー食物繊維「レジスタントスターチ」まで含まれています。『炭水化物は冷まして食べなさい。』の主役となる「レジスタントスターチ」については、本書で分かりやすく解説しています。
野菜を食べるよりも、「ご飯」を食べるべき
昨今、腸の重要性は広く知られ、「腸活」という言葉も定着してきました。腸内細菌を増やす発酵食品や、食物繊維を多く含んでいる野菜を食べている人も少なくないと思います。
しかし、これだけ腸活の必要性が叫ばれていながら、日本人の食物繊維の摂取量は年々低下しています。摂取目安量は18~21g。現在の摂取量は14g程度ですから、4~7グラム程度不足していることになります。ちなみに戦後すぐ、1947年の食物繊維の摂取量は約27gでした。
野菜を積極的に食べているにもかかわらず、現代人の食物繊維量が減っているのはなぜでしょうか?
それは、食物繊維たっぷりの炭水化物を毛嫌いして、遠ざけているからにほかなりません。健康のカギを握る腸内環境を良好にするには、野菜を食べるよりも、まずは「ご飯」を食べるべきなのです。
冷ますだけで炭水化物は「ハイパー食物繊維」に変わる
このように、炭水化物は食物繊維をたっぷり含んでいます。ですが、炭水化物のすごいところはこれだけではありません。
「レジスタントスターチ」という言葉を耳にしたことはありませんか? レジスタントスターチとは「難消化性でんぷん」のこと。文字どおり、消化しにくい(レジスタント)でんぷん(スターチ)という意味です。
レジスタントスターチが発見されたのは1980年代のことでした。その後、研究技術の進歩にともなって、レジスタントスターチには腸内環境を良好にする大切な役割があることがわかってきました。