安全安心・日持ちよしの缶詰だが、くだもの缶は注意

缶詰、びん詰、レトルト食品は、原則として、食品を容器に密封して加熱殺菌してあるので、腐敗につながる菌はいません。昔は、芽胞を作る菌が生き残り酸っぱくなったり容器が膨張したりする事故も多くありましたが、現在では原材料の段階で殺菌したり加熱時の温度と時間を調節したりするなどで、芽胞のリスクを抑え込んでいます。したがって、これらは賞味期限が切れても安全上の問題が起きるとは考えにくい、と言えるでしょう。

日本缶詰びん詰レトルト食品協会のウェブサイトで、安全性や賞味期限等について詳しく解説されています。賞味期限を過ぎたものについては、缶詰の場合は缶がさび付いていないか/ふたや容器が膨らんでいないか/ふたを指で押すとペコペコとへこまないか……を確認し、該当する場合は廃棄を、と明快です。

ただし、これらであっても保存されてきた環境が重要です。協会は「缶詰といえど、高温多湿な場所で長期間おいておくと品質の劣化はやはり早まりますので、表示されている賞味期限以内の日付であっても、期待されるおいしさでなくなっていることがあります」と明記しています。

加えて、くだものの缶詰は注意が必要。長期保存していると缶の鉄分とくだものの酸が反応し始め、ガスが発生したり中身が変質したりしやすいのです。開封したら中身はドロドロとか、突然、缶が破れ中身が噴出、いう事故もおきます。コープこうべ商品検査センターが、組合員からの質問に対して、詳しく回答しています。くだもの缶は、賞味期限までに食べた方がよさそうです。

参考情報
公益社団法人日本缶詰びん詰レトルト食品協会
生活協同組合コープこうべ商品検査センター・商品Q&A

牛乳の期限も開封したら無効

牛乳の期限は殺菌方法により消費期限と賞味期限の2種類があることを2020年10月30日配信のプレジデントオンラインの記事「『賞味期限を過ぎたら食べないほうがいい』が間違いである根本的な理由」でお伝えしました。どちらの期限かは、パッケージに明記されています。ちなみに、低温保持殺菌は体によく超高温瞬間殺菌は悪い、という俗説がありますが、科学的な根拠はなく、栄養価に違いはありません。

ただし、牛乳の期限はどうも誤解されているようです。1リットルのパッケージを開けて飲みながら、この日付までに飲みきったらよい、と思っていませんか?

それは間違い。消費期限、賞味期限共に、開封すると無効。開けた後は菌やカビ胞子などが入り込み増殖が始まるので、メーカーは責任を負えません。開けたらなるべく早く飲みましょう。それに、パックに口をつけて飲むのは御法度。人の口は汚いのです。微生物が牛乳にさらに入り込み増殖して、変質が早まります。

参考情報・Jミルク・期限表示を知って牛乳をおいしく飲みましょう