人が口にした食べ物に含まれるタンパク質や脂肪にブドウ糖が結合する糖化反応によって体内にできるのがAGEという物質だ。糖尿病専門医の牧田善二さんは「AGEは人類の敵。老化のほか、がん、心筋梗塞、脳卒中、アルツハイマー病、糖尿病などの原因にもなる。AGEは食べ物に含まれますが、調理法によってその量が最大10倍に増える」と警告する――。
※本稿は、牧田善二『20万人を診た 老化物質「AGE」の専門医が教える 老化をとめる本』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。
酸化と糖化が老化の元凶
酸化は体のサビ。活性酸素が原因
酸化とは物質に酸素が結合する反応です。体に起こる「サビ」といわれています。大気中には20%の酸素が含まれており、さまざまな外部からの刺激で、体内に活性酸素(※)が発生します。この物質が過剰に生まれると細胞を障害してがん、心筋梗塞などの生活習慣病を起こします。
人間の体にはこの活性酸素から体を守る抗酸化反応防御機構が備わっています。活性酸素産生が抗酸化反応防御機構を上回った状態を「酸化ストレス」といいます。
酸化ストレスを起こす原因となるのは紫外線、大気汚染物質、タバコ、酸化した物質の摂取(古くなって酸化した油など)、過度な運動、仕事などがあります。
逆に酸化ストレスを抑える抗酸化反応防御物質には生体にあるスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼなどの酵素と呼ばれる物質。さらにビタミンC、ビタミンE、カロテノイドなどの食べ物に含まれる物質があります。
いままではこの酸化が人間の老化の原因と考えられてきました。しかし、最近の研究では次に述べる糖化によって生まれるAGEが酸化以上に老化に深く関与していることがわかってきました。しかも糖化反応が進むと酸化反応も同時に進行し、その逆もあります。
つまり酸化反応と糖化反応は同時に進むことが多いので糖化酸化反応(Glycoxidation)と呼ぶことが提唱されています。
※ 活性酸素とは、我々が呼吸している大気中の酸素よりも活性化された酸素およびその関連分子の総称で、不安定でいろいろな物質と反応しやすい性質をもっている。