「自分に期待するのはやめましょう」

自分の能力は、こんなはずじゃなかったのに……。そう落ちこみがちな人は、自分への期待が高すぎるのではないでしょうか。

「この能力ならば、もっと給料のいい仕事についているはずだったのに」
「このスペックならば、早く結婚して、幸せな家庭を築いているはずだったのに」

たしかに、まだ若く、努力次第で将来が大きく変わりそうな年齢なら、自分に期待することにも意味があります。がんばって勉強して、志望校のランクを上げるとか、自分がもっとも売り時だと思うときに婚活をがんばる、とかですね。

でも、年をとると、そういう努力で将来を変えることは難しくなります。なので、最初から自分に期待をしすぎず、「まあ、自分の能力はこんなもんだ」くらいの気持ちで過ごしたほうがラクですよね。

「自分の能力にたいして期待しない」という前提に立てば、いまからでも、もっといろいろな工夫や対策ができるはずです。

たとえば、クリエイティブなことを提案する能力が足りないと思っていたら、そういった能力がなくても、相手によろこんでもらえるような営業を心がけることができます。結婚市場で考えた際のスペックが足りていなければ、もっとターゲットを広げるとか、もしくは結婚はあきらめて、ペットと幸せに暮らす人生を選択してもいいはずです。

給料をたくさんもらったり、結婚したり子どもをもうけたからといって、幸せになれるわけじゃありません。自分にはそれが無理そうだなあと思ったら、そうじゃない方向で生きるようにかじを切ったほうがいいのではないでしょうか。

「『自分はバカだ』と思っておきましょう」

自分が賢いと思っている人は、自分だけの考えで物事をすすめがちです。でも、人間って自分で考えているほど理性的な存在ではないと思うんですよね。どちらかというと、外部刺激によって、自動的に感情や気分が反応してしまう、動物的な本能の影響が大きい。

なので、自分の理性を過信したりせず「勝手に反応してしまうバカなものだ」と考えておいたほうが、うまくいかなかったときに自分に失望して自己肯定感を下げずにすみます。

それに、自分はバカだと思っている人のほうが、自分以外の人の力を借りて、うまく物事をすすめようとします。そうすると、無駄な努力をしなくなって、生きるうえでのコストパフォーマンスがよくなるんですよね。

ビジネスパーソン
写真=iStock.com/Fumika
※写真はイメージです

自分の賢さに自信がある人は、なんでも自分一人の力だけでやろうとしてしまいます。他人の意見や力を借りようとしない。でも、自分のなかにあるセンスや経験だけでは、どんなに優れた人でも限界があるんです。

たとえば社内で企画を通したいとき。となりの席の先輩に質問すれば、上司がどんな説得方法に弱いのか教えてもらえるのに、そういう発想がないからひとりよがりなものをつくって上司にボツにされ、企画書の作成に費やした労力や時間を無駄にしてしまったりします。

自分のことをバカだと思っていれば、まず人に頼ることを考えるし、プライドが邪魔して頼れないということもありません。自分のことはバカだと割り切って、スムーズに他人の力を借りながら、ラクをしてみましょう。