通販で買えるのに、わざわざ飛行機に乗って来店

アマゾンの企業理念は「地球上で最もお客様を大切にする」だそうです。アマゾンは世界に数億人規模の顧客を持つ巨大企業です。

それでも、33坪しかない小さな飯田屋には、アマゾンを超えられる強みがあります。飯田屋では、「地球上で最も目の前にいるお客様を大切にする」と誓っていることです。

また、料理道具に関してはアマゾン以上にお客様を喜ばせられると自負しています。

アマゾンで購入したほうが早くて安いことを知っていながら、わざわざ飛行機に乗って飯田屋にご来店くださるお客様もいます。その方々は、飯田屋でしか味わえないお買い物体験を求めていらっしゃいます。

実店舗で勝負をする僕たちが、アマゾンのサービスに対抗する必要はありません。アマゾンには決して真似できない飯田屋の強みは、目の前のお客様に寄り添える人間味のある接客です。お客様のお名前をおぼえることや、会話を楽しむこと、手紙を書くことなど、それぞれの店に合った人間味のある接客をとことん磨いていけばいいのです。

多種多様なレードルが並ぶ飯田屋の店内
撮影=小林久井
多種多様なレードルが並ぶ飯田屋の店内

ランキング1~100位のビールグラスを比べてみた

アマゾンのカスタマーレビュー機能はとても便利と評判です。たしかにアマゾンランキングのトップ商品には、思わず購買意欲をそそられます。ですから、評判が高くなるほどに、その評価を信用して次の購買行動へとつながるため、売上も伸びる傾向にあります。しかし、専門店である僕たちがカスタマーレビューの評価をそのまま鵜呑みにして商品を販売するわけにはいきません。そこには必ずずれがあるからです。

あるとき、アマゾン売れ筋ランキング1位から100位までのビールグラスを買い集め、どれがいちばんビールをおいしく飲めるかを基準に、独自に評価してみました。すると驚くことに、1位のグラスが断トツの最下位となったのです。

そこで従業員にも、僕が評価した1位のグラスとアマゾン売れ筋ランキング1位のグラスを含む10種類をブラインドチェックで評価してもらいました。すると、好みによって多少のばらつきはあったものの、誰一人としてアマゾン売れ筋ランキング1位のグラスをおいしいとは評価しませんでした。なぜ、このようなずれが起きるのでしょうか?