日本の再エネ比率はこの10年で10%から20%に増えた

【木南】再エネの過去の進化から将来を予想できると思います。再エネのFIT(固定価格買取制度)が始まった2012年に太陽光発電のコストは約40円/kwhでしたが、2020年は約10円/kwhと8年間で4分の1に下がりました。今後もジリジリと下がっていくとみていいでしょう。

その結果、日本の再エネ比率はざっくり言うと、この10年で10%から20%に増えました。外国に目を転じれば英国は10年間で20%から40%となっています。過去の進化をみるとこのような事例があるのですから、「今後は難しい」というのは適当な見方ではないと思います。

むしろ国家経営というものは、できそうな目標をもう少しストレッチしてより高い目標にして挑戦するというのが望ましいのではないでしょうか。今後9年間で倍増するという目標はまったく手が届かないものではありません。

——もしも2030年に40%程度の水準を達成できたならば、その20年後の2050年に50~60%というのは少し低い。結果的に2050年にはもっと再エネ発電が増えているかもしれませんね。

レノバの木南陽介社長
撮影=安井孝之
レノバの木南陽介社長

経産省、環境省、国交省、農水省などが包括的に動き始めた

【木南】エネルギー基本計画は3年ごとに見直しますが、再エネ発電についても不断の見直しが必要だと思います。新しい技術が常に生まれてきますから、3年経てばこの技術は良いのでもっと伸ばそう、これは悪いのでやめようと判断しながら計画を見直さなければいけません。CNはそのように不断の見直しをしながら実現できるものだと思います。

再エネ発電比率が2030年に40%程度に達したならば2050年の目標も上振れするのではないでしょうか。再エネ発電の事業者としては2030年に向けていい数字が出るよう貢献し、その結果の先にある2040年、2050年の数字がさらに野心的なものになるように頑張りたいと思っています。

——再エネ発電が増えるにはどんな課題があるのでしょうか。

【木南】必要だと思われていた規制緩和については、概ね論点が出て課題解決のための取り組みが進み始めた感があります。電力系統への接続を巡って、今後どのような運用になるのかを注意深く見ておかねばならない点もありますが、障害は少なくなっています。政府として2050年までのCNを宣言したことで、経産省、環境省、国交省、農水省などが包括的に動き始めたので政策が加速しています。