平常時に送電線の空きがあれば再エネ発電が接続可能に
——例えばどんな点が変わりましたか。
【木南】農水省は3月に荒廃農地を利用した太陽光発電の設置について規制緩和を決めました。これまで日当たりが良いのに10年、20年と使われず荒廃した農地で太陽光発電をしようとしても農地を転用する際の規制が厳しく、事実上無理でした。しかし今回の規制緩和で荒廃農地への太陽光発電の設置ができるようになりました。太陽光発電はこの8年で急激に伸び、優良な広い土地が少なくなっていたので、荒廃農地の利用はとても追い風になります。
——再エネの導入量が増え、接続可能量を上回り、接続の受付が止まったり、送電線を新設しなければならなかったりで、すぐには再エネ発電が接続できない問題がありましたが、改善されつつあるのですか。
【木南】1月に「ノンファーム型接続」という制度が始まりました。この制度は昨年4月から議論されていたもので、政府のCN宣言を受けたものではないですが、CN宣言後の新しい制度変更です。これまでは送電線の一部が切れるといった非常時の対応のために送電線の空き容量を一定程度確保しなければならず、平常時に送電線の空きがあっても再エネ発電は接続できませんでした。
それが平常時に空きがあれば柔軟に接続するという「ノンファーム型接続」が導入されました。この制度は欧州が先行していました。現在は受付をしている段階ですが、今後どのように運用されていくのかが重要です。
蓄電池の技術革新が再エネ発電の不安定性を軽減する
——再エネ発電については日本では依然として「不安定で頼りない電源だ」というような意見が電力会社などにはあります。
【木南】確かに太陽光発電や風力発電といった再エネ発電は気象に左右される不安定性を本質的には持っています。しかし蓄電池の技術革新がさらに進めば、気象条件が良い時にたくさん発電した電気を蓄電することで再エネ発電の不安定性を軽減できると考えています。
テスラや中国メーカーが発売している定置型のリチウムイオン電池の価格はずいぶん安くなっており、再エネ発電の蓄電設備として使用できる可能性があります。また再エネで発電した電気で水を電気分解して生じる「グリーン水素」を活用して不安定性を補うことができるでしょう。