来客予定がないまま出勤を続けている
コロナ禍で女性の自殺が増えていると報道されている。警察庁によると、2020年に自殺した女性は7026人で、前年より15.4%増加した。動機別でみると、鬱病などの健康問題が前年比で1割増えたという。
今回は、筆者の住む沖縄県で増えているキャバクラ嬢の鬱病と、キャバクラを辞めた女性の状況について書いていきたい。
初めに、キャバクラで働く女性たち(キャスト)の現状を説明すると、キャストが待機している時間の時給はコロナ禍をきっかけにカットされ、1年がたった3月でも続いている。お店を存続させるためには仕方のないことだと言えるが、お客を呼べない(来客予定がない)キャバクラ嬢にとっては、コロナ感染のリスクだけを背負いながら出勤することになる。
ある日、1人のキャバクラ嬢から相談の連絡がきた。名前をさやさん(25歳、仮名)とする。彼女はひとり暮らしで、沖縄最大の繁華街・松山のキャバクラ店に勤めている。
感染を恐れたら「怠けている」と言われ…
「軽度の鬱病という診断を受けました。でも、親と喧嘩ばかりしているから症状を話せなくて、精神的にキツいです」という話だった。松山ではクラスターが発生したこともあり、さやさんはコロナ感染を恐れて1カ月ほど出勤していなかった。貯金を切り崩して生活していたが、それを「怠けている」と判断した親と衝突する日々が続いた。
1カ月間の出勤自粛が原因で軽度の鬱病を招いてしまった。とはいえ、いつまでも貯金を切り崩しながら生活をするわけにはいかない。そうしてさやさんは出勤するようになったが、出勤しても待機時間中は時給カットの対象になる。5時間働いても、3時間分の時給しか保証されていない。
さやさんのコロナ前の時給は2400~2600円で、月収は多い月で30万円ほどあった。だが、時給1600円までカットされたことで、最高日給は8000円である。さやさんは「最近は、客入りが悪くて5時間出勤しても1卓しかつけてくれなくて、接客時間は10分くらいなんですよ」と話す。
さらに、さやさんを追い込むような出来事があった。