例えば、こんなケースが起きている。アメリカ陸上チームは千葉県内で予定されていた事前合宿を中止した。5月12日に千葉県が発表した。陸上は五輪競技でも「最高の華」といえるが、その中でもアメリカは世界最強の一角だ。千葉県は2016年から受け入れ準備を進めてきており、大きな落胆が広がっている。
中止理由が「新型コロナウイルスの世界的流行が続き、今後も感染症収束の見通しが立たない中で、選手の安全面に関して懸念が生じているため」と、日本国内の感染リスクをアメリカ側が明確に指摘したことは、政府や組織委にとって大きなダメージとなったのではないか。
このままでは「内部崩壊」必至
ちなみに、全国に目を向けると54もの自治体がすでに事前合宿の取りやめを決めた。うち、8割については外国チーム側が市中での感染を危惧、選手村に直接向かう決断をした結果となっている。
筆者の記事「練習所がワクチン会場に転用…全国で広がる「五輪合宿辞退ドミノ」の実態」で述べた「事前合宿のドミノ倒し」だが、5月に入ってさらに深刻化しており、国内各地から取りやめのニュースが連日、止まない状態だ。今後、本戦そのものへの辞退につながり、ついには有力国による五輪不参加表明が積み重なることも十分に考えられる。
これまで述べてきた通り、開催可否の決定権はIOCに委ねられている。だが、感染拡大と参加国の合宿中止に歯止めがかからない今の状況は「五輪の内部崩壊」につながりかねない。今夏の実施を断念するのか、IOCはどんな決断を下すのだろう。