健康寿命を超えてしまうが

もちろん、健康状態は人それぞれに違うので、すべての国民に求めるべきことではない。また、そもそも健康寿命はまだ70歳代半ばに達していない。健康寿命は、2016年時点で男性72歳、女性74歳だ。

しかし、試算結果の意味は重い。私たちは、健康寿命を超えても、なお相当に長生きする社会に生きているということだ。そうした長寿の恩恵にあずかる以上、一人ひとりができる限り長く働く努力が欠かせない。そうしなければ、若い世代は、いまの高齢者ほどには、長寿の恩恵を受けられない。負担に耐えられず、いまの若者たちが高齢者になるころには、寿命の伸びが止まったり、短くなってもおかしくない。

医療費の負担割合などのさらなる見直しは、避けて通れないだろう。定年制も、単に廃止するだけでは足りない。能力に応じた賃金が徹底されなければ、企業は立ちいかなくなる。

社会を貫くパラダイムの一大変革となる。勝負の時は「脚の長い凧形」が完成する45年ごろまでだ。残された期間は20年強しかない。

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