70歳までの雇用はあくまでも努力義務

4月1日、「改正高齢者雇用安定法」が施行された。70歳までの就労機会確保を企業の努力義務とするもので、これを受けて4月から雇用年齢を70歳までとする企業が相次いだ。

そんなニュースを眺めていれば、いよいよ「70歳雇用時代」が現実になったように思うかもしれない。だが、70歳までの雇用はあくまでも努力義務であり、法的な強制力はない。いわば、制度の思いだけが発進したにすぎない。

一部の大企業を除き、多くの企業の労働者には「70歳雇用時代」は非現実的だろう。

公務員は2031年度に65歳定年、給与は7割水準で支給

一方、政府は国家公務員の定年を現在の60歳から段階的に65歳に引き上げる国家公務員法改正案を4月13日に閣議決定した。検察幹部の定年延長などを絡めたために一度は頓挫していたものだ。

閣議に臨む(左から)小此木八郎国家公安委員長、赤羽一嘉国土交通相、茂木敏充外相、菅義偉首相、麻生太郎副総理兼財務相、河野太郎行政改革・規制改革担当相、田村憲久厚生労働相=2021年4月13日、首相官邸
写真=時事通信フォト
閣議に臨む(左から)小此木八郎国家公安委員長、赤羽一嘉国土交通相、茂木敏充外相、菅義偉首相、麻生太郎副総理兼財務相、河野太郎行政改革・規制改革担当相、田村憲久厚生労働相=2021年4月13日、首相官邸

国家公務員法改正案が今国会で成立した場合、2023年4月から2年ごとに現在60歳の定年年齢を1歳ずつ引き上げ、2031年度に65歳に引き上がる。給与について60歳以降は当分の間、それまでの7割水準で支給するとしている。

また、定年延長が現役世代の昇進を妨げる要因になるとの懸念に対しては、60歳に達した時点で管理職のポストから外れる「役職定年制」を採用する。ただ、例外規定として60歳以降も管理職で業務を続けられる特例も設けるという内容だ。

国家公務員法が改正されれば地方公務員法もそれに倣う手はずになっており、自治体職員も連動して定年年齢が延びる。