<天才性×社会性>で人類は生き抜いてきた

人間は皆、人と異なる特性を必ず持って生まれます。なぜならば、人類という生物種は、個々人が異なること、つまり天才性を持ち、その異なる人々が協力し合うこと、つまり社会性の掛け算によって厳しい生存競争を生き延びてきた生物だからです。

しかし多くの人は自分の天才性に気がついていません。あるいは子どもの頃は自由に自分の好きなことに没頭していたのに、忘れてしまっている人も多いと思います。自分の天才性に気づかず、また、それを活かすこともなく人生を終えてしまうのは、もったいないように思います。

加えて、自分の天才性をある程度知っていても、社会に適合できずに結局、既存の仕事をしながら暮らしている人も多いでしょう。それも残念なことです。

「才能」と「環境」がアインシュタインを天才にした

アインシュタインは誰もが認める天才でしょう。アインシュタインが天才になったのは、自分の天才性を知りそれに忠実に生きるという2つの要素を満たしたからです。

アインシュタインは大学受験の時、勉強をせずに臨みました。そのためひどい点数でした。ただし数学と物理が圧倒的にできていたために特別に入学が許されました。彼はこういう経緯で自らの天才性(彼にとっては特殊性)に気づいていきました。

しかし授業に出ていないために肝心の大学の成績は凡庸ぼんよう、教授からはうとんじられて、就職は失敗、定職につかない期間も長く、友人のコネで特許庁の一職員として働いていました。結局、アインシュタインが大学の先生になるまでに十数年を費やしました。

それでも彼は報われない時代、各国の大学の先生に論文を送ったり勉強会を主催したりするなど、退屈な特許庁の仕事の時間の合間をぬって自分の天才性に忠実な暮らしを送ったのでした。

またアインシュタインはコーヒーが大好きでした。しかし生涯にわたって一度として自分でコーヒーをれたことがないといいます。これは周りが気を利かせて淹れてあげたのでしょう。

こう見ると、若い頃のアインシュタインは社会的には成功しているようには見えないかもしれません。しかし彼には人に好かれる愛嬌があり、頼りになる友人がいて、そして何よりも社会と一定の距離をとって自分に忠実に生きる勇気があったのです。

その才能と環境がアインシュタインを天才にしたのでした。