曖昧な目標は部下を不幸にする

何かにチャレンジをしているわけではなく、成長もせず、給料だけは高止まり……。職場に、こんなベテラン社員はいないでしょうか?

私はこのことを、ベテランの「塩漬け現象」と呼んでいます。

特に、事業環境の変化が激しい今のような時代は、要注意。目標が曖昧になってしまいやすく、その結果、社員の塩漬け現象が加速してしまうからです。

なぜ、そうなるのかは、「プラトー現象」で説明ができます。「プラトー現象とは、あるタイミングで、高原(プラトー)にとどまるように成長が止まってしまうことをいいます。さまざまな壁を乗り越えて、人は次のステージに向けて成長していくのですが、塩漬けになっている人は、同じステージのまま年齢を重ねてしまっているのです。

でも。これは本人の問題ではありません。会社からその社員への要望。つまり、「目標が曖昧になっている」ことこそが問題なのです。

目標(基準)が曖昧だと、普通に仕事を続けているだけでずっと評価されることとなり、結果として、本人の成長はピタリと止まってしまうのです。

だからこそ、営業部門など具体的な目標が立てやすい部門はもちろん、間接部門など数値目標がない環境ではことさら、注意が必要なのです。

そんな居心地の良い環境が、結果的にプラトー現象をつくってしまい、部下を塩漬けにしてしまうのです。

目標は必ず数値化できる

そのため、数値目標の設定が難しい間接部門こそ、「達成率で測定できる目標」にすることがとても重要なのです。数値化しにくい職種もありますが、次の切り口を使えば、必ず数値化はできます。

① 「到達度」で数値化(売上、利益、不良率、残業削減時間など)
② 「進捗度」で数値化(プロジェクトの進捗、長期的に行う取り組みなど)

まずは、①の到達度で数値化する方法を考えてみましょう。

例えば残業削減の取り組み等については、次のような観点で数値化をします。

【現状】現状の社員の平均残業時間は月間30時間
【目標】月間10時間に減らすことを設定(つまり20時間の削減)
【結果の測定】
▶月間10時間にすれば、達成率100%(20時間の削減)
▶月間0時間まで減らせば、達成率150%(30時間の削減)

また、②の進捗率で数値化する方法は、①の到達度で測定しにくいときのオプションです。プロジェクトのタスクを付与するときなどが代表的な例でしょう。

例えば、タスクのステップを5つに分けて、次のような観点で評価します。

【目標】3カ月で、ステップ4まで進捗させる
【結果の測定】
▶ステップ4まで進めたら、達成率100%(4分の4)
▶ステップ5まで進めたら、達成率120%(4分の5)

このように、数値化すれば、人はなんとか達成したいと思うものです。

もし、当初の目標を超えた成果が得られた場合には、その分、きちんと評価するようにします。そうすることで、おのずと、今まで以上の工夫を自分からするようになるのです。

NG 「目標を数値化できない仕事もある」と思い込んでいる
目標を曖昧にしたまま仕事を続けさせていると、そのうち本人の成長が止まってしまいます。
OK 事務職であっても「測定できる目標」を付与する
どんな職種でも数値化した目標を示すことによって、本人のさらなる成長につなげることができます。