五輪不参加表明で文在寅大統領は北朝鮮にはしごを外された

さらに産経社説は指摘する。

「一方、日米韓の高官協議の声明には中国への名指し批判がなかった。3月の日米外務・防衛担当閣僚の安全保障協議委員会(2プラス2)の共同文書にはこれが明記されていた。韓国が入って中国批判が後退してしまった」
「韓国によって中国批判が後退する」。中国はまさにこれを狙っているのである。アメリカと中国の間で苦慮する韓国の弱みを握って自国に有利な外交を進める。これが中国・習近平政権のやり口なのである。そんな政権を決して認めてはならない。

北朝鮮の体育省が4月5日付のウェブサイト「朝鮮体育」の中で「北朝鮮のオリンピック委員会が東京五輪への不参加を決めた」と報じている。理由は「新型コロナから北朝鮮の選手たちを守るため」というが、明らかに韓国に対する揺さぶりである。

韓国の文在寅大統領は東京五輪という国際舞台を利用して、韓国、北朝鮮、日本、アメリカ、中国の5カ国の首脳会談を開催し、融和政策によって北朝鮮の非核化を論議する計画を模索していた。それだけに文在寅政権にとっては、北朝鮮にはしごを外された格好だ。

北朝鮮の五輪不参加表明は典型的な瀬戸際外交だ

この北朝鮮の五輪不参加に対しても産経社説(4月7日付)は「政治利用の隙を与えるな」との見出しを立ててこう主張している。

「東京五輪への不参加を表明した国はこれが初めてだが、北朝鮮による五輪の政治利用や、他国への波及は防がなくてはならない」
「政府にはその隙を与えないよう、各国選手団が安心して競技に臨める環境づくりに万全を期すことが求められる」

「五輪の政治利用」はあってはならないことだ。揺さぶりを企図した北朝鮮の典型的な瀬戸際外交だ。ここは産経社説が主張するように開催地の日本が踏ん張る必要がある。

産経社説は「1964年の東京五輪では北朝鮮選手団の陸上選手らが国際オリンピック委員会(IOC)から資格停止処分を受けたまま来日し、資格回復を求めたが認められず、開会式の2日前に『全員帰国』を組織委員会に通告した」と解説し、「開幕直前の混乱にもかかわらず大会は粛々と運営され、五輪は大成功を収めて閉幕した。こうした歴史にも学んでほしい」と主張する。

北朝鮮の五輪不参加の表明は常套手段なのだ。日本は決して動じてはならない。