北方4島の現状を考えればロシアの言い分を聞く必要はない
朝日社説は指摘する。
「今回の検定では、北方領土の現状をロシアが『実効支配』『事実上統治』しているとした元の記述に、『生徒が誤解するおそれがある』と意見がつき、『不法占拠』に書き直された。だが、ロシアがどう主張しているかの説明は、そこにはない」
日本の北方領土4島は、終戦直後にロシアに不法占拠された。これは間違いのない歴史的事実である。
北方4島の総面積は千葉県や愛知県とほぼ同じで、その人口は1万7000人。大半がロシア人だ。ロシアは北方4島を自国の領土とみなし、歯舞群島に国境警備隊を駐留させ、国後、択捉両島には駐留兵士3500人を配置、地対艦ミサイルまで配備している。ロシアは北方4島をアメリカを警戒するための重要な軍事拠点にしている。
民間人も多く、ロシア政府は道路や港湾、住宅などのインフラの整備に巨額の資金を投じている。これが不法に占拠された北方4島の現状なのである。
この現状を考えれば、いまさらロシアの言い分を聞く必要はないと思う。
「5文字を手がかりに」という皮肉を書く朝日社説
さらに朝日社説は「戦後補償関連では、旧植民地出身者の扱いや慰安婦の存在に触れ『未解決の問題が多い』と書いたのが不適切とされ、『政府は解決済みとしているが、問題は多い』になった。現場の教員には、残った『問題は多い』の5文字を手がかりに、丁寧な授業を期待したい」と指摘する。
慰安婦問題について火をつけ、誤報を重ねたのは朝日新聞である。その過ちを棚に上げて「5文字を手がかりに」とよく皮肉を書けたものである。
慰安婦や徴用工など日韓の戦後補償については、1965年の日韓請求権・経済協力協定で「完全かつ最終的」に解決済みだ。特に慰安婦問題については、日本は2015年に保守の朴槿恵(パク・クネ)政権と「最終的かつ不可逆的な解決」で合意している。
しかも日本政府は「女性のためのアジア平和国民基金」(1995年設立)や日韓合意に基づく韓国の財団を通じて元慰安婦らに現金を支給してきた経緯がある。もちろん歴代の日本の首相も謝罪を重ねてきた。
しかし、2017年に発足した左派の文在寅政権が「被害者中心主義」を掲げ、「当事者の意思を反映していない」と2015年合意を破棄するとともに財団も解散してしまった。
間違っているのは韓国の文在寅政権なのである。朝日社説はなぜその事実を無視するのだろうか。