コロナ禍で「専門家」という言葉を耳にすることが増えた。作家の佐藤優氏は「専門家と称する人々が疑問を持たれることなく政治の前面に出てくることに、違和感がある」という。池上彰氏との対談をお届けしよう――。

※本稿は、池上彰・佐藤優『ニッポン未完の民主主義』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。

専門家会議に代わる新たな有識者会議「新型コロナウイルス感染症対策分科会」の初会合=2020年7月6日、東京都千代田区
写真=時事通信フォト
専門家会議に代わる新たな有識者会議「新型コロナウイルス感染症対策分科会」の初会合=2020年7月6日、東京都千代田区

何度も叫ばれてきた「民主主義の危機」

【佐藤】太平洋戦争後のある時期から、日本では一貫して「民主主義の危機」が叫ばれてきたといっても、過言ではないでしょう。時代によって目の前の課題はさまざまでしたが、国家権力によってこの国の民主主義が奪われつつあるのではないのか、という議論が幾度となく繰り返されてきました。