トレーナー全員がトヨタ出身者で、そのノウハウを生かし多くの企業に「成果を上げる組織づくり」の極意を伝授し成果を上げるOJTソリューションズ。その中でも特に、すぐに取り入れられる手軽さとパワフルな効果を持ち合わせるのが「トヨタの日常管理板」です。それは異業種でも活かされていました――。

※本稿は、OJTソリューションズ『トヨタの日常管理板 チームを1枚!で動かす』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

砂時計とノートパソコン
写真=iStock.com/BrianAJackson
※写真はイメージです

銀行でも活きるトヨタ式

今回は、日常管理板の効果をアップさせる方法を紹介していきます。

日常管理板もこれから紹介する手法も、私たちが「改善」と呼ぶものの一環です。改善とは、トヨタ生産方式の核をなす考え方であり、全員参加で徹底的にムダを省き、生産効率を上げるために取り組む活動のことです。

よく見られる具体的な問題点を取り上げながら、お話していきましょう。

日常管理板は、最初から理想形を追求する必要はありません。「時間を決めて仕事をする」「期限内に仕事をやり切る」といった日常管理の観点をもってマネジメントするだけでも、現場は劇的に変わります。

トレーナーの廣は、指導先の銀行で、それまで行内でも使われていた身近なツールを活用して「困りごと」の解決をはかりました。

身近なツールを「日常管理板」代わりに

「その銀行では、計画的な業務遂行ができていないことが課題でした。『今日、何の仕事をするか』がメンバーそれぞれに委ねられているため、日々のスケジュールが本人の頭の中にしかなく、その日にやれる仕事を思いつきでこなしているような状態だったのです。

そのため、今日やろうと思っていた仕事が終わらなくても誰にも注意されず、翌日以降に持ち越すことが慢性化していました。

マネージャーが『そろそろ承認・決裁の書類が回ってくるはずだが、来ないな……』と思ってメンバーに確認すると、そこではじめてメンバーの仕事がどれくらい滞留しているかが明らかになり、マネージャーがフォローを入れ始める、ということを繰り返していました。

つまり、業務の負荷と進捗がマネージャーだけでなく、メンバー本人にもきちんと『視える化』されておらず、業務を計画的に進められていなかったのです」

この状況を改善するために、廣が着目したのは「業務日報」でした。