ガラムゼイと呼ばれる中国人違法金採掘業者たち
そこにはガラムゼイと呼ばれる中国人違法金採掘業者たちがいた。外国人が採掘をすることが難しいガーナでは地元農家にアプローチをし、金を掘るのに必要な2年間ほどのリースを持ちかける。元の農園に戻すことを約束する業者もいるが、1度に10~15メートルも掘り起こされ、採掘のために汚染された土地を元通りにするのは安易ではない。そのまま放置されることも多く、カカオ農園を続けることができなくなるケースも……。
カカオ生産者は、ほとんどが政府管轄の機関に豆を卸しているが、その価格は生活に十分なものとは言えない。違法金採掘業者から受け取る目先の金額に飛びつき、持続的な農業を絶つ農家とその家族が増えている。
そして何よりも、この違法金採掘には水銀が使われているにもかかわらず、素手で作業している人がいることに驚いた。こうして1つの農園が灰色の穴に変わるとき、近辺の農園も同じく土壌の汚染の影響を受ける。さらに汚染された水は川を渡り人々の健康被害を及ぼしている。私が出会ったカカオ農園や違法金採掘で汗を流す人々の多くはチョコレートの味すら知らないそうだ。今年もチョコレートを見ると彼らを思い出す。