アメリカと中国の「新冷戦」が北朝鮮問題を深刻化させる

アメリカは、前述した国連安全保障理事会の制裁委員会に対し、今回の北朝鮮の弾道ミサイル発射についての調査を求め、制裁強化を視野に入れた独自の資料の提出も示唆している。

アメリカが北朝鮮に強硬姿勢を見せるのに対し、北朝鮮に対して融和姿勢を示しているのが中国とロシアだ。中国とロシアは「拙速な行動は控え、長期的な視野に立って制裁を緩和すべきだ」との主張を制裁委員会でも繰り返した。

特に中国は、朝鮮中央通信が23日に報じたところによると、金正恩総書記が中国の習近平(シー・チンピン)国家主席と口頭でのメッセージを送り合い、敵対する勢力からの挑戦と妨害に対し、北朝鮮と中国が団結することを誓い合ったという。「敵対する勢力」とは、アメリカのバイデン政権のことだろう。正恩氏は「中国は人権問題をめぐる敵対勢力からの誹謗中傷に屈せず、社会主義体制を強固にしている」と語り、中国支持の姿勢を示した。

中国中央テレビも前日の22日に、習近平氏が金正恩氏に宛てたメッセージについて報じている。今後、北朝鮮問題はアメリカと中国の「新冷戦」によってさらに深刻さを増す恐れがある。

韓国・文在寅政権の態度は煮え切らない

北朝鮮に核・ミサイル開発を諦めさせるには、日本とアメリカ、それに韓国の3カ国の強い連携が必要であることは言うまでもない。しかし、肝心の韓国の動きが鈍い。慰安婦問題と徴用工訴訟で反日感情を煽り、自らの政権維持に利用してきた文在寅(ムン・ジェイン)大統領に問題がある。

3月18日の「米韓外務・防衛閣僚会合」(2プラス2)でも、北朝鮮についてバイデン政権は経済制裁を堅持する姿勢を示したうえで、文在寅政権に発破をかけ、「国連の安全保障理事会決議を完璧に履行することが重要だ」と韓国側に認識を求めた。

だが、文在寅政権の態度は煮え切らない。文在寅大統領が北朝鮮に対し、融和路線を取って北朝鮮との経済協力事業の再開を強く目指しているからだ。文在寅大統領の北朝鮮融和もいい加減にしてもらいたい。停戦中とはいえ、北の核兵器開発に対する脅威はないのか。