「揺さぶりで有利な駆け引きを狙う戦術は見え透いている」
3月26日付の朝日新聞の社説は「北朝鮮の挑発 同じ愚を繰り返すのか」との見出しを付け、こう書き出す。
「危うい恫喝による瀬戸際外交に回帰しようというのか。足元の苦境を直視し、不毛なパターン思考を改めるべきだ」
「北朝鮮がきのう、日本海側に弾道ミサイル2発を発射した。国連安保理決議に反する発射は昨年3月以来で、バイデン米政権発足後では初めてだ」
北朝鮮のやり方はまさに瀬戸際外交で、破れかぶれに見える。
朝日社説は指摘する。
「だが、こうした揺さぶりで有利な駆け引きを狙う浅薄な戦術は、もう見え透いている。米政権との対話を一時的に拒んでも、北朝鮮の閉塞状況は何ら改善されない」
北朝鮮の金正恩総書記の頭には軍事力の強化しかなく、国民の生活を向上させることはまったく考えていない。本来、金正恩氏が取り組むべきことは経済の立て直しであり、自然災害や食料不足で苦しむ北朝鮮の人々を救うことのはずだ。
これまでの朝日社説と違って韓国に厳しい
後半で朝日社説は韓国に注文する。
「南北融和を最優先に掲げる韓国の文在寅政権は、残り任期が約1年となった。独自に制裁の緩和や支援を模索しているようだが、日米とのすり合わせを経ない単独行動は慎むべきだ」
「慰安婦や徴用工などの問題で対立を続ける日韓関係も、大きな支障となっている。北朝鮮の短・中距離弾道ミサイルは、日韓を脅かす共通の懸念であることを忘れてなるまい」
これまでの朝日社説と違って韓国に厳しい。書き手の論説委員が変わったのかもしれない。今後の社説の展開にも注目していきたい。