生まれて初めて「やりたい!」と熱望した仕事
農業をよくしていきたい。それは生まれて初めて心の底から「やりたい!」と熱望したことでした。DeNAで任されていた仕事はとても楽しく、夢中にもなっていましたが、あくまでもそれは「会社に指示されたからやっていたこと」であり、自ら進んで「やりたい」と言った仕事ではなかったのです。3年の間、ずっとそれがコンプレックスでもありました。わたしの「やりたいこと」ってなんだろう。それがわからないまま、手探りで忙しい毎日を乗り切っていたのです。
でも、農業をよくしていきたい、という想いは本心。だったら、この情熱を大切にしなければいけないのではないか。そう痛感したわたしは、すぐにDeNAを退職することにしました。
がむしゃらな会社員時代は必要な準備期間
いまとなってみれば、DeNAでがむしゃらに働いていた3年半は、準備期間だったとも思います。そこで頑張っていたからこそ、「やりたいこと」が見つかったとき、応援してくれる人もいたのです。
与えられたことのなかに「やりがい」を見出すのも、ひとつの才能です。モチベーションをコントロールして「夢中になれる力」ともいえます。本当に嫌で嫌で仕方ないのであれば離れた方がいいと思いますが、嫌ではなく、初めは「やりたいこと」ではなかったものの、次第に面白さを見いだせるようになったのであれば、それは素晴らしいことです。
わたし自身のように、「やりたいこと」というのは、突然見つかったりもします。それが見つかったときに重要なのは、周りの人がサポートしてくれるかどうか。そのためにも、日々の仕事のなかでコツコツ実績を重ね、周囲の信頼を集めておくことが大事だと考えています。
繰り返しますが、「やりたいことが見つからない」のは悪いことではありません。与えられた場所で懸命に働く。それ自体、立派なスキルなので、「やりたいこと」をしている人たちと自分とを比べて落ち込む必要はありません。