仕事や災害も「分析」が命

これはビジネスや日常生活でも同様です。

たとえば、職場では、上司の働き方やこれまで経験してきた業務の内容を分析することによって、ある程度、上司の思考パターンや反応を予測できるようになります。この予測ができるようになると、上司を味方につけたり、うまく動いてもらえる方法を考えたりすることができるようになるでしょう。

また災害時には、災害という敵の特性をきちんと把握しておくことによって、より適切な対処や避難ができるようになります。

たとえば、地震の場合と風水害の場合とでは、避難するルートや避難すべき場所が変わる可能性があります。どこに危険が潜んでいるのか、どのように安全を確保すればいいのか、災害という敵の特性と勢いを想像して、シミュレーションをしておくことが重要です。

災害に限らず、クルマやバイク、自転車の運転につきものの事故、また火災や感染症など、いずれもその特性を知ることによって、心を惑わされることなく、冷静な状態で対処することができます。

災害時は慣れた日常の場所が「敵地」になる

自衛隊では、斥候せっこう(偵察)訓練で敵の支配する地域に潜入した場合、決して無理な行動をしません。敵に行動を察知され、捕捉されてしまうからです。

敵地の真っ只中のような、未知で、自身の意思や能力を十分に発揮させられない環境下では、何が起こるのか予想がつかないため、無理な行動に出ることは危険です。危険を感じ取った場合、まずは見つからないようにして様子を伺います。そして、安全が確認できなければ、その場から静かに離脱して、安全が確保できる場所まで移動します。

敵地の斥候は、災害時の備えの対応に通じるところがあります。

たとえ住み慣れた街でも、災害が起きればそこは未知の敵地と同じような状況になりかねません。安全を確保できる場所を平時から確認し、安全に移動できるルートを検討しておきましょう。

まずは、ハザードマップで危険なエリアを確認します。次に橋や崖、万年塀などを実際に見て把握しておき、安全に通行できるルートを歩いてみます。