通学や仕事をしながら家族の介護・世話をする子供を「ヤングケアラー」という。関西のコンセプトカフェで働くなつみさん(19歳・仮名)もその一人で、母親の介護と弟の世話のため高校生活を犠牲にした。どうすればヤングケアラーは救われるのか。ノンフィクション作家の角田裕育さんが取材した――。
家でうずくまって落ち込む女性
写真=iStock.com/torwai
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1980年代末にイギリスで社会問題として提起され始めた

「ヤングケアラー」という言葉をご存じだろうか? 通学や仕事をしながら家族の介護・世話をする18歳未満の子供を指す。このヤングケアラーの問題は、1980年代末にイギリスで社会問題として提起され始め、昨年末から厚生労働省も実態調査に乗り出した。

どのような人がヤングケアラーの当事者なのだろうか。詳細を語ってくれる人にインタビューすることができた。

なつみさん(仮名)は1年前に通信制高校を卒業した19歳の女性だ。現在は関西のある繁華街でコンセプトカフェ(アニメコスプレなどをして接客をする店)のホステスとして働いている。

比較的短時間で多く稼げること、持病を抱えているせいで9~17時の勤務は難しいこともあって、夜に働けるこの仕事を選んだ。

「この店のオーナーは、とても良い人で、『しんどかったら休んで良いよ』と言ってくれるんです」

と、自身に理解のある経営者に出会えたことに感謝の意を隠さない。なつみさんは、先日も短期間だが入院したばかりである。

だが、なつみさんがこの仕事をするのには、実はもっと深刻な理由があった。うつ病で寝たきりの母親と、小学生の弟の世話をしなければいけない立場にあるのだ。