福島第一原発事故後、思考停止に陥っていた10年のツケ
電力市場を巡ってはNTTが三菱商事と組んで全国の電話局の局舎に設置した太陽光パネルからとった再生可能エネルギーを自治体や各地域の家庭に供給するサービスを計画している。
伊藤忠商事も蓄電池や分散型電源を用いた電力網を海外で積極的に展開している。同社は日本でも本格参入する考えで、異業種を巻き込んだ競争は激しくなっている。
東日本大震災から10年。資源のない日本とは言え、原発依存の体質は変わっていない。電力不足が懸念される中でも、脱炭素への世界的な流れから石炭火力には頼れない。
原発依存から脱するためには再生可能エネルギーの比率を高めるしかないが、電力供給の安定性確保のほか、送電網の整備にも数兆円規模の資金も必要だ。
福島第一原発の事故以来、まるで思考停止に陥っていたこの10年のツケは重い。今、電力不足という現実を前にして、いかなる電力政策、エネルギー政策をとるのか、先送りできる問題ではない。