税金とは国の「儲け」に対し、かけるもの。そんなシンプルな考えから、基幹3税(所得税、法人税、消費税)のGDPに対する割合に注目したのが、弁護士の明石順平さんだ。念頭にあるのは、絶望的な年金問題。「低負担・中福祉」ゆえに日本は幸福感に乏しく、それは賃金下降を野離しにした結果だと訴える――。

※本稿は、明石順平『キリギリスの年金 統計が示す私たちの現実』(朝日新書)の一部を再編集したものです。

タブレット端末を使用するシニアカップル
写真=iStock.com/Thurtell
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基礎年金給付金の半分は、国庫からの穴埋め

年金財政は、「年金特別会計」で管理されています。老齢年金に関しては、国民年金と厚生年金という2つの勘定に、それぞれの保険料収入や、積立金からの運用収入等が入ります。これに加え、一般会計からも国民・厚生の2つの勘定にお金が入ってきます。

2018年度で言うと、国民年金勘定に1兆8238億5500万円、厚生年金勘定に9兆7990億5500万円、合計で11兆6229億1000万円が入っています。そして、この2つの会計から、基礎年金勘定へお金が入り、基礎年金給付がされています。

平成30年度の基礎年金給付費は22兆9047億2000万円です。これは、先ほど見た一般会計から国民・厚生の各会計への組入額合計(11兆6229億1000万円)の約2倍です。保険料等の収入だけでは足りないので、かつて3分の1だった国庫負担を、こうして2分の1に引き上げて穴埋めをしているのです。

一般会計を18年度予算の歳入から見ると、租税及び印紙収入が約59兆円で全体の約60%を占め、その他収入が約5兆円で5%です。残りの約34兆円は全て公債金つまり借金です。借金のうち、特例公債が約28兆円で28%、建設公債が約6兆円で6%になっています。歳入の3分の1以上が借金という計算になります。