中国の経済は2050年になっても依然としてアメリカを上回ることはできず、世界第2位に留まる可能性がある、という分析を、ロンドンを拠点とする経済調査会社キャピタル・エコノミクスが発表した。
同社の予想は、中国の経済力が遠からず世界一の経済大国アメリカを超えるという一般的な見方を覆すものだ。
中国の経済的影響力は、アメリカのように着実には増加していかない、と同社は予測しており、その一因として2030年までに中国の労働人口が年間0.5%以上減少することを指摘した。一方、アメリカの労働人口は中国よりも高い出生率と移民による人口増加に支えられて、今後30年間で拡大すると見られている。
「生産性の伸びの鈍化と労働人口の減少によって、中国はアメリカを追い越すことができないという展開になる可能性が最も高い」と、同社は分析している。
同社の報告によると、アメリカと中国の経済力の関係がどうなるかは、生産性の行方と、インフレおよび為替レートの動向にかかっている。中国が2030年代半ばまでにアメリカを追い抜かないとすれば、「永遠に追いつくことはないだろう」。
さらに「中国がアメリカをしのぐことがあっても、その地位を維持するのに苦労するかもしれない」と付け加える。だが、2030年以降の中国における労働者の生産活動の伸びはアメリカよりも速く、両国間の所得格差は縮小し続けるだろう。
人口動態の逆風が足かせに
この報告書の筆者であるキャピタル・エコノミクスのアジア担当主任エコノミスト、マーク・ウィリアムズによれば、中国の成長が鈍化している最大の要因は、指導者である習近平(シーチンピン)国家主席が経済開放の努力を拒んだことだ。
「国家による経済の支配は、共産党が中国社会のすべてを支配するべきであるという習近平の信念の1つの側面だ」と、ウィリアムズは本誌に語った。
「ほとんどの人が、中国の経済は今後も大きく成長を続け、アメリカを追い抜くのは時間の問題だと考えている。私の見解では、中国の経済成長は過去10年間で大幅に減速しており、今後も減速し続ける可能性が高い。これは主に生産性の伸びが減退しているからだ」
「そうであれば、中国は2030年頃に経済規模でアメリカに近づくかもしれないが、追い越すことはできない」と、彼は語った。
「人口動態の逆風」は今後も中国経済の足を引っ張り続けるとウィリアムズは言い、「中国が経済力でトップになることがあっても、労働人口の減少が拡大するにつれて、再び後退する可能性がある」と、付け加えた。
昨年、中国はアメリカとのGDPギャップを埋め、経済は2.3%拡大して14.7兆ドルに達した。ビジネス専門ケーブルテレビCNBCの報道によると、アメリカのGDPとの差は6.2兆ドルで、2019年の7.1兆ドルから縮めている。