尖閣諸島周辺が騒がしくなっている。2月1日に中国で「海警法」が施行され、海上警備を行う海警局の船舶に、武器の使用が認められた。尖閣諸島周辺へのさらなる領海侵入が警戒されるが、ジャーナリストの宮田敦司氏は「中国海軍あるいは海警局乗組員が尖閣諸島に上陸する可能性は低い。あるとすれば、“民兵”を使ったグレーゾーンの作戦だ」という――。
沖縄県・尖閣諸島(北小島)
写真=西野嘉憲/アフロ
沖縄県・尖閣諸島(北小島)

中国海軍が尖閣諸島に上陸する可能性は低い

尖閣諸島周辺における中国海警局船舶の活動が活発化している。今年2月には海警局の強い権限を規定した「海警法」が制定された。同法により、海警局が中国の管轄海域内の海や島に違法建造物があれば強制排除できるだけでなく、中国共産党中央軍事委員会の命令で防衛作戦を遂行できることが明確となった。

これによる日本にとっての問題は主権の侵害、すなわち、尖閣諸島の領海と領土を、中国が管轄海域および領土と規定し、行動する可能性が強まることだ。

しかし、筆者は中国海軍あるいは海警局船舶の乗組員が魚釣島をはじめとする尖閣諸島を構成する島に上陸する確率は低いと考えている。海上保安庁の巡視船が海警局の船舶を、そして、海上自衛隊の護衛艦が中国海軍の艦艇を監視し、尖閣諸島領海へ接近した場合は海警局船舶と海軍艦艇の航行を阻止する役割を担うと考えられるからだ。