※対談は、音声SNS「Clubhouse」(クラブハウス)で、公開取材として行われました。
Clubhouseで思いを吐き出す女性たち
【笛美】「もう、森さんが(組織委員会会長を)辞任したんだからいいじゃないか」という人もたくさんいますが、私たちはそういうことを言っているんじゃない。日本中あちこちにいる、「森さん的な存在・空気」をどう変えるのか、構造をどう変えるかという話をしているんですよね。
【白河】そうなんです。ただ、私は、その構造の話をする前に、一つやっておくべきことがあるんだなと感じました。
森前会長の発言のあと、私はClubhouseでいろんな部屋に顔を出しているんですが、あちこちで女性たちが、それぞれの体験や思いを語っています。みんなが自分の体験を言わないと、たぶん次に進めない。これまで抑圧して「ないもの」としてきた思いを、言語化して表現し合うというプロセスが必要なんじゃないかと。
【笛美】これまで吐き出せなかったんですよね。
【白河】知っている人同士で吐き出す場というのはあったと思うんですよ。でも、Clubhouseというのは不思議な場ですね。たまたまその部屋で一緒になっただけで、知らない人ばかりということもあるわけです。立場や環境、考え方も違っていて、必ずしも吐き出すものの内容がかみ合うことばかりではない。でも、特にモデレーターの人が上手だと、違うからといって攻撃し合うこともなく、いろんな思いを聞いて共感したり学び合ったりできる。
【笛美】そこはわかります。
私も今までずいぶんセクハラにあってきましたが、「#MeToo」のときは言えなかった。性被害について語るのって、すごく難しかったと思うんですよ。
でも時代が少しずつ変わってきたように思います。『82年生まれ、キム・ジヨン』の映画が公開されたときには、「私だけじゃなかったんだ」と泣いた人がたくさんいた。そんなふうに、女性の悔しさや悲しみをシェアできるような世界が、ちょっと広がってきたのかなと思いますね。
【白河】そうですね。完全にみんなが同じ思いで一致するのは難しいけれど、変わってきました。