山田広報官の会食は「贈収賄も視野に入る」

NHKの政権批判分子を排除し、官邸の意のままに動く体制はつくり上げた。民放テレビ局は、わずかな局を除いてトップたちとの太いパイプはあるし、テレビを通じて新聞に圧力をかけることもできる。

メディア支配という意味では「オレは角栄を超えた」、菅はそう思っていたのではないか。だが上手の手から水が漏れた。

総務省で菅の長男から接待を受けた官僚たちが、次々に更迭されていく。

総務省から内閣広報官に抜擢した山田真貴子は、1回の会食費が7万円を超えたことで、倫理違反ではなく「贈収賄も視野に入るのではないか」(若狭勝・元東京地検特捜部副部長)ともいわれている。

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写真=iStock.com/Kayoko Hayashi
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NHKの危機は、「知る権利」の危機である

しかし、菅政権が倒れたとしても、NHKへの権力側の介入が終わるわけではない。

朝日新聞編集委員の川本裕司が先の本で書いている。

「経営面では盤石に映るNHKだが、その内実には危うさが数多くある。自壊しかねない不安要素を抱えながら、肥大化していく公共放送の未来が明るい、とはとても言えない」

安倍晋三が介入を繰り返し、菅義偉が総仕上げに入ったNHK国営放送化が出来上がれば、“みなさまのNHK”が、“自民党と官邸のみなさまだけのNHK”へと変容していく。

有力メディアが権力のいいなりになった時の怖さを、われわれは先の戦争で学んでいるはずである。もはやNHKに自浄作用を期待できないとすれば、税金のように義務化された受信料を支払わされている国民が、十分なチェック機能を果たし、本来あるべき「国民のための公共放送」へと原点回帰させるしかない。

NHKの危機は、われわれ国民の「知る権利」の危機である。(文中敬称略)

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