習慣と制約をつくるのがマネジメントの役割

私は起業し、ここ5年で会社をゼロから年商10億以上、数十名規模まで拡大した。創業当初は、「個々人が有機的に働く組織」まさにティール型のような組織を理想と思っていたが、現実と理想の間でだんだんと判断を現実側に倒していった。

考え込んでいるビジネスマン
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その中で、かつて「バカバカしい風習だな」と思っていたことを、逆に導入する側に回ることが何度もあった。その中で代表的なものが「朝礼」だ。

会社が小さいときは、そもそも黙っていてもやる気があるから創業期に参画したわけで、働くことが好きなメンバーが集っている。また、残業したくないとか、朝早く来るのは嫌だとか、そういう細かい話をするメンバーはいないし、そうじゃないと会社は大きくならない。

しかし、事業を拡大するにあたり、どうしても「松竹梅」の「梅」の層を活用しないと、手が回らなくなってくる。そのとき、「梅」のメンバーをマネジメントする方法として、「朝礼」「日報」のような一見バカバカしい手段に着地するのである。

面倒な「朝礼と日報」は馬鹿にできない

自分で会社の経営を始めると、「朝決まった時間にオフィスに来る」という当たり前のことが、まったく当たり前ではないことに気付かされる。

そうはいっても自分もかつては遅刻ばかりの人間だったので、そういう人の振舞いを批判する資格は全く無いが、「ただ人間が集まっているだけ」の組織は、ティール組織でいう「Red(個人による支配的なマネジメント)」にも到達せず、ただの人だかりでしかないのである。

起業をするということ、経営をするということは仕組みをゼロから作るということである。

多くのメンバーが「当たり前のこと」ができない。その現実があるのなら、「朝決まった時間に集まり、今日の予定を話す」「業務が終了したら、今日やったことを報告する」という同調圧力と監視の仕組みを導入するしかないのだ。