白ごはんより混ぜごはんや炊き込みごはん
簡単にいえば、急激に血糖値を上げない種類の糖を選ぶこと。
糖には糖鎖という分子の鎖があります。
飲料水に入っているブドウ糖果糖液糖、果物の果糖などは、とても吸収しやすい単糖類。白砂糖、ショ糖や牛乳の乳糖は、二糖類。玉ねぎ、ごぼう、母乳など、食物繊維を含み、腸内細菌を増やすのは小糖類。豆、小麦、米などは多糖類。
鎖の長い糖を選ぶのが智慧になります。そして、「量」や「摂り方」も鍵を握ります。
血糖値の上昇速度を表す数値を「GI値」と呼びますが、いちばん気をつけたいのは、そのGI値の高い食べものを空腹時にいきなり食べてしまうことです。
これは、ちょっとした工夫で避けることができます。
たとえば、精製された白いごはんは、そのままだとGI値が高いですが、雑穀米や胚芽米などを混ぜたり、ゴマやしらす干しをふりかけて食べるだけでコントロールができるのです。とても簡単でしょう。子どもたちや旦那さんの朝ごはんや、小腹がすいたときには、鮭や梅やシソを加えて混ぜごはんにしたり、きのこやタケノコなどの炊き込みごはんを多めにつくって、おにぎりにしておくと便利です。大切な人の脳力を上げるには、少しの智慧とひと手間をかけることがポイントです。
時間がないときは、卵かけごはんでもいいのです。お米のでんぷん質を卵がコーティングしてくれるので、血糖値の上昇も白米やトーストよりゆるやかです。
一度にたくさん食べるより、必要なときに必要な分だけ脳にゆっくり糖を届ける。
私の伝えたい糖質チョイスの考え方です。
なぜ「炭水化物は人類を滅ぼす」のか?
『炭水化物が人類を滅ぼす』(夏井睦著・光文社新書)のタイトルは、劇的でした。
確かに、世の中には糖質食品が氾濫し、便利、手軽、消化がよいといった感覚で「スイーツは別腹」といいながら、多くの人が過剰に糖質を摂っています。それも、キレる、急に倒れるなど、原因不明の症状が、無意識に食べている糖質と関係があるとは思っていないのです。
不調の原因がわからないといわれた相談者の方には、私は必ず5時間かけて血糖値を調べさせてもらいます。すると、糖分を摂った何時間後に具合の悪いタイミングが起こっているかが明確にわかります。
とくに若い子がお菓子を主食代わりにしているなどという話を聞くと、末は1億総低血糖時代かも、と不安になるくらいですから、この本を初めて目にしたときはうなずけました。