世論の分断がさらに進む恐れ
3点目として、世界的な株価の上昇によって、富裕層とそれ以外の所得層の経済格差が拡大している。韓国では株価に加えて首都圏のマンション価格が高騰している。文政権が対策を講じたとしても首都圏の不動産価格は上昇する可能性がある。
なぜなら、米国を中心に低金利環境が続き、景気が悪化すれば政府・中央銀行が対策を打つと先行きを楽観する投資家が多いからだ。しばらくの間、世界的に株価は上昇する可能性がある。資産価格が上昇する間、資産や安定した職を持つ人と、持たない人の格差は拡大する。
ただし、資産価格の上昇が続くことは考えられない。株価に調整圧力がかかれば、韓国経済全体でバランスシート調整が進み、資金繰りに行き詰まる家計や中小の事業者は増えるだろう。それに加えて、株価の下落は社会心理を不安定化させる。そうした複合的な要因によって、韓国では、資産を持つ世代と若年層、安定した職を持つ人とそうでない人というように経済の二極分化が鮮明化し、世論はこれまで以上に分断される恐れがある。