※本稿は、下園壮太『自衛隊メンタル教官が教える 心をリセットする技術』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
悩む人のほとんどが、必要以上に自分を責めている
日々カウンセリングでクライアントに接していると、「やめる・やめない」が人生の大問題となり、苦しんでいる人が多い、と感じます。仕事をやめたい、離婚したいなど、なんらかの「やめたい」を抱え込んで動けなくなっている状態です。
そんなみなさんが口を揃えて言うのは、「どうやったら決められるか、乗り越えられるのかを知りたい」ということ。何か魔法のようなやり方があって、その方法さえ実行すればうまくいくはず、という「乗り越え願望」のようなものがあるのです。
しかし、人生において単純な1つの方法で乗り越えられる課題など存在しません。特に、「やめる・やめない問題」は特別に難しい課題。丁寧に解きほぐす必要があります。
誰にとっても「やめる」は簡単な作業ではない。まずはそのことをしっかり自覚してください。
同時に、「やめる」という課題に突き当たった、ということは、あなたが「このままでは嫌だ」と感じた、ということ。その気持ちを大切にしてほしいのです。じっくりとテーマに向き合っていけば、必ずこれまでとは違うやり方を見つけられます。つまり、殻を破って、これまでよりも視界が開けた世界に漕ぎ出していくことができます。
カウンセリングをしていて感じるのは、「やめる・やめない問題」に悩む人のほとんどが、必要以上に自分を責めているということです。
周囲の人たちは、自分と同じ状況でもがんばっている。なのに自分はこんなことも耐えられず、逃げたいと思うなんてダメだ、というふうに。
どうか自分を責めないでください。その悩みがどのようなメカニズムで深まっているのかを3つの要因に分けて説明しましょう。原因がわかれば、対処すべきルートも見えやすくなります。
問題を寝かせている間に、決断できなくなる
1.エネルギーが減る
2.自信がなくなる
3.不安が大きくなる
「やめる・やめない問題」には、ここに挙げた3大要因が関わります。「やめたい」というテーマで悩むとき、去年なら簡単に決断できたことが、今年になるとずるずると決断できなくなってきた、ということがありますが、それは表面的な問題構造は変わらないのに、問題を寝かせておいた間にこれらの3大要因が悪化し、発展してしまっているからです。あなたはどうでしょうか。
1つめの、「エネルギーが減る」について説明するために、まず、エネルギーとは、という定義から説明しましょう。