ベテラン相手の業務に悩み

平野さんは現在、8歳と4歳の息子を育てながら、社内システムの業務設計などを担当する部署でマネジャーを務めている。大きな壁にぶつかったのは、長男の育休から復帰して半年ほど経ったころ。それまでは、業務フローの設計やシステムの要件定義を担当していたが、まったく経験のない業務内容の部署に異動になった。

異動先の仕事は企画統括で、各部門の予算や数値目標に対する進捗を管理し、未達の場合は打ち手の検討や実行を促す役割。相手は組織長クラスのベテランばかりで、年齢も経験値も自分よりはるかに上だった。

異動したばかりでその分野の慣習にも疎く、見当違いの発言をして怒られてしまうこともしばしば。「どうしたら芯を捉えたことを言えるようになるんだろう」「自分には何が足りないんだろう」と悩み続けるうち、次第に自信も意欲もなくしていったという。

加えて、出産による生活の変化も大きかった。子どもが生まれる前は、社外の友達と飲みに行くことも多かったが、育児が始まってからは人との交流の場が会社と家と保育園だけに。自分の世界が狭くなっていくことに、焦りや閉塞感を覚え始めていた。

平野麻絵さん(右)
写真=本人提供
平野麻絵さん(右)