自民党内での試案「選択的週休3日制」が話題になっている。これは休みが1日増える分、単純に給与が2割減るというもの。人事ジャーナリストの溝上憲文氏は「2割減を受け入れられる人がどれくらいいるだろうか。昇進・昇格の格差も問題になる。本来目指すべきは給与減無しの週休3日であり、それは十分実現可能だ」と指摘する——。
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週休3日で給与2割減

自民党内で検討されている「選択的週休3日制」が話題を呼んでいる。党の1億総活躍推進本部の猪口邦子本部長が1月中旬に週休3日の試案を提示したのがきっかけだ。

1億総活躍推進本部は検討結果を4月半ばに中間報告という形で政策提言し、2021年の経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太方針に必要な予算措置を盛り込みたい考えだ。といっても週休3日の法制化を目論んでいるわけではなく、民間企業への導入を働きかける政策誘導が主眼だ。

猪口試案のポイントは①週休2日制を維持しつつ、希望する正社員は週休3日を選択可能にする、②子育てや介護、リカレント教育など学習と両立しやすい環境にする、③中小企業の導入策として奨励金を検討する――などである。そしてもう一つの重要なポイントとして、週休3日制を導入する場合、給与減を想定していること。現在の週5日勤務が週4日と1日減ることで単純に給与が2割減ることになる。

希望する人が希望する時期だけ取る

なぜ今、週休3日なのか。猪口氏はテレビ番組でこう述べている。

「コロナという、この大きな試練の中で社会変容を遂げなければならない。去年の春くらいからはリモートワークが一気に進んだことで、コロナが下火になった後には、より柔軟な働き方を模索することが可能なのではないかと思った。大学院進学や故郷に貢献したいとか、本職とパラレルでやりたいことができるようになれば、若い人がすぐに辞めてしまうという現状も変わるかもしれない。あるいは子育てや介護、闘病中だったり不妊治療だったりする方々で、週休3日なら退職せずに持ちこたえられるけれども、このままだとやっぱり無理かな、というケースもあると思う。そうした方々の希望を叶える方法はないかと考えたときに、さらに1日だけ自由な時間があれば、と思った。希望する人が、希望する時期だけ取るということで良いと思う」(1月18日『ABEMA Prime』)