もっときめ細やかな対応をしなければ政府は国民に見限られる

ここまで見てきたように、外出などを制限すれば経済は落ち込み、人々の気持ちが「緩め」ば経済は向上するのです。

タクシー
写真=iStock.com/TkKurikawa
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そういうことを考えれば、2021年1月以降はワクチン接種の状況にもよりますが、経済が落ち込む可能性は高いと考えられます。それが長期化するという場合には、政府は経済崩壊を防ぐ努力もしなければならないことは言うまでもありません。その際、今までのような「大雑把な」政策では効果も半減です。

まず、飲食業への助成金です。現状、緊急事態宣言が出ている地域では、20時以降の営業を自粛しているお店に対しては一律日額6万円が支払われています。しかし、これは店の大きさなどを考慮していません。従業員1人か2人で10席程度の店を切り盛りしている場合には、日に6万円もらえば普段より大きな利益が出ていてホクホクだと思います。

一方、大型店では6万円程度では焼け石に水のところも多いでしょう。助成金を得るには申請をしなければならないので、その際に、家賃や雇用調整助成金をもらわない従業員などの固定費を申請してもらいそれを支払うべきです。金額が個別に違うだけで、これまでと役所側の手間もそう変わらないはずです。

このままでは大手の飲食業は壊滅してしまう

助成金で儲かるところとそれでも全く足りないところが出ているのはおかしな話です。これでは、飲食業、とくに大手は壊滅します。

他に、ホテルや旅行代理店、陸運、海運、タクシー、飲食業に資材を供給しているところなど、助成金がほとんど出ておらず、業績が厳しい業種がたくさんあります。借入れでなんとか事業を維持し、その後のGoToキャンペーンが復活すれば業績がある程度戻る可能性のあるところはいいかもしれませんが、そうでないところには、返済不要の助成金や資本性資金の注入が必要なところも少なくないでしょう。

さらには、困っている人への助成も必要です。前回は、富裕層にもひとり10万円を配りました。収入が落ちていない年金受給者にも配りました。選挙対策が見え見えの愚策でした。富裕層では貯蓄が増えただけで、年金受給者はプラスアルファの収入があったので、それをGoToトラベルで使い、それにより感染が増えただけの結果に終わりました。これも申請ベースだったので、次回は本当に困っている人に厚めに配分すべきです。

先の飲食業も同じですが、申請で不正があれば、あとで調査し厳罰を科せばいいのです。

メリハリのついた配分ができないほど政府は無能だとは思いたくありませんし、もし、これから先も無能さを露呈し続けるなら、国民が政権を見限るのもそう遠くはないでしょう。

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