ストレスと無縁の人生を送ることは不可能なのですから、子どもが転ばないようにするのではなく、転んだときにそのストレスとどう向き合ってどう起き上がればいいのかということを、子どもが小さいうちから教えてあげなければならないのです。

ストレス対処の2類型

ストレスとの向き合い方のひとつに、「ストレスコーピング」というものがあります。

これは、ストレスそのものにどう対処するかに視点を置いた手法のことで、「情動焦点型」と「問題解決型」という大きくふたつの種類にわけられます。

前者は情動に焦点をあてる、つまりストレスを発散させて気持ちを楽にさせる方法です。一方の後者は、そもそものストレスの原因となっている問題をなくす手法を指します。

情動焦点型がフィットするのは、比較的大きな問題や過去に起こったことによるストレスに対処するとき。たとえば、前日に犯してしまった大失敗を悔やんでストレスを感じているような場合、タイムマシンでもなければ問題そのものにアプローチすることはできません。

そういうときは、いままさに感じているストレスを軽減するための行動を取ります。人それぞれですが、漫画を読んだりテレビを観たりお風呂に入ったり、大人ならお酒を飲むというようなことです。

ノートパソコンでビデオ通話を楽しむきょうだい
写真=iStock.com/kohei_hara
※写真はイメージです

逆に、これから起きることによってストレスを感じている場合には、問題解決型がフィットします。

明日のテストが心配でストレスを感じているというときに、漫画を読んでもお風呂に入ってもなんの解決にもなりません。だとすれば、しっかりテストでいい点数を取るための行動を起こす必要があります。

親が選択肢を示す

そして、これらの選択肢は多ければ多いほどいい。

たとえば、ストレスを感じたために友だちと飲みに行こうとした人が、友だちに「忙しいから」と断られたときに、他の対処法を持っていなければストレスはたまる一方です。そうではなくて、他の友だちを誘ってみる、あるいは映画を観るといった別の手段を選ぶ必要があります。

そう考えると、子どもは自分で選択できる手段が限りなく少ないですから、やはり親が選択肢を提示してあげる必要があります。

ひとつ注意してほしいのは、海外旅行や遊園地に行くといった、滅多にできないような選択肢を示すことは避けるべきです。

そういう経験によって「遊園地で遊ぶことが僕にとっていちばんいいストレス発散方法なんだ」なんて子どもが思ったとしても、遊園地にはそう簡単に連れて行けるものではありません。

日常的なストレスを発散させる方法は、日常的にできるものでなければならないのです。