新型コロナによる自粛生活が続く中、「感情コントール」を失って暴走する人が増えている。そういう人にどう対処するか、あるいは、自分自身が気づかぬうちにそんな「困った人」にならないためにどうすべきか。精神科医の和田秀樹氏がノウハウをまとめたセブン‐イレブン限定書籍『感情的にならない心の整理術』を上梓。同書からそのエッセンスを紹介する──。(第1回/全3回)

*本稿は、和田秀樹『感情的にならない心の整理術』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

人間社会は「感情関係」

近年、感情をコントロールできず、不機嫌になっている人が多いような気がしませんか。しかも新型コロナウイルスの感染拡大で、人々の生活に制約が加わり、その傾向はさらにひどくなっているように見受けられます。

人間社会には「感情関係」の面があります。電車に乗れば乗ったで、会社に行けば行ったで、心にはなにがしかの波風が生じます。不満、怒り、不快、イライラ……心はしょっちゅういらだっています。

とはいえ、できれば不機嫌でいるよりも、ご機嫌な時間が多いほうがいいですよね。

医学的にいっても、不機嫌が続くと人の免疫機能は低下し、病気になりやすいことがわかっています。逆に、ご機嫌になれば免疫機能も上がり、健康的な生活を送ることができます。

ぬいぐるみ
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※写真はイメージです

精神科医にやって来るのは「感情を押し殺してしまう人」

私は精神科医を仕事にしていますので、たくさんの人を診てきました。なかなかやっかいな仕事だな、と思うことがあります。

和田秀樹『感情的にならない心の整理術』(プレジデント社)
和田秀樹『感情的にならない心の整理術』(プレジデント社)

というのも、私たちのもとを訪れる方々の多くは感情的な人ではないのです。

たとえば、感情的になって異常なまでのあおり運転をして逮捕されるような人は、精神科には来ません。つまり、感情を表に出して周囲にぶつけるタイプの人は、精神科を訪ねることは少ないのです。

それでは、いったいどういう人が私たちのもとに来るのでしょう? 感情を押し殺してストレスを抱え込んだり、それに耐え切れなくなった人が多いのです。

つまり大切なのは、感情をどううまく吐き出していくかということ。感情を押し殺すのではなく、うまく発散させること。これこそが、「感情的にならない」心の整理術の第一歩なのです。