そういう状況下で、我々は「第4のメガバンク構想」と銘打って動き出し、新持ち株会社のSBI地銀ホールディングスが島根銀、福島銀、筑邦銀、清水銀、東和銀の5行に出資。さらに、きらやか銀、仙台銀の2行を傘下に持つじもとホールディングスとも資本提携し、最終的には10行まで拡大します。

我々の経営資源を使ってその質的変化を図っています

地銀・グループ総資産ランキング上位

我々は、ともに自ら自行を変えていくのだという強い意志を持った地銀にはいろんなお手伝いをしましょう、と我々の経営資源を使ってその質的変化を図っています。たとえばIT化やRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、OCR(光学文字読み取り)といったフィンテックの技術の力を借りた合理化、有能なポートフォリオマネージャーが不足している地銀の資産を我々がお預かりして高度な運用を代行するなどして収益を支えます。その成果はすでに確実に出ていて、島根銀行のこの上半期のコア業務純益は大幅に改善しました。

ただ、我々は別に銀行同士をひっつけようという意図はまったくありません。コスト削減のためにA行、B行をくっつけて事業規模を大きくしても規模の経済性は働かず、複数の事業の共有可能なプロセスを一元化しても、今の状況では大きなコスト削減にはつながらないのです。別に合併がダメだというわけではありませんが、我々がそれを狙ってどうこうするということはまったくありません。地銀は自ら考えて、合併がよいと判断したなら政府や日銀がそろえたお膳立てに乗っていけばいいと思っています。

しかし、地銀はこれまでそれぞれの地域の殿様ですから、昨日まで地元で競争してきたライバル地銀と今日からいっしょにやろうといっても、なかなかうまくはいきません。役員に限らず、部課長・次長に至るまで人事には必ず影響するし、A銀行のX支店を廃止してB銀行のY支店を使うことになった場合、X支店の人はどうなるの? という余剰人員の問題も出てきますから。3大メガバンクグループも、20年以上すったもんだしながら、近年ようやく少し落ち着いてきたところ。それだけの歳月がかかるものなのです。

加えて、かつてバブル崩壊の後始末のために注入した公的資金を、いまだに返済し切っていない地銀もまだ多い。これから経営がますます悪化して公的資金注入の話が出てきたら、まだ返済の終わっていない将来性も期待できない地銀にまた血税を使うことの是非を問う世論が出てくるであろうし、野党も反対するかもしれない。合併・事業統合はなかなか難しいと思います。