もっと「更年期」を知ってほしい

wakarimiの料金はカップルで月1500円(税抜き)。登録者数はじわじわと増えており、100組に近づいている。立ち上げ後は高本さん自らが、更年期や夫婦間コミュニケーションに関する講習会やセミナーを積極的に主催しているほか、最近ではフェムテックに注目が集まっていることもあり、メディアに取り上げられることも増えている。

「wakarimiを使い始めた女性からは、『パートナーが寄り添ってくれるようになった』という感想をいただきます。『相手に不満を抱えていたけれど、思いやりがなかったわけではなく、ただ私の体調がわかっていなかっただけでした。意外と私のことを考えてくれていたことがわかり、反省しました』という声もありました。また、体調が悪いことを自覚するきっかけになり、婦人科の受診につながったというケースもあります」

同時に課題も見えてきた。

「そもそも『更年期』という言葉に対して拒否感のある人が多いんです。『こんなに抵抗感が強いのか』と驚いたほど。『更年期障害に悩む人のためのサービスです』と言っても、『更年期って50代くらいの女性の話でしょう? 私はまだ更年期じゃないから必要ありません』となってしまう。ですから、『何か不調はありませんか? こんな症状はありませんか?』とヒアリングし、更年期について知ってもらいながらサービスの必要性に気づいてもらうようにしています」

男性に使ってもらうために工夫

また、女性の側が「使いたい」と思っても、男性に使ってもらうのが難しいという壁もある。

wakarimiから男性に送られるメッセージの例(写真=本人提供)
wakarimiから男性に送られるメッセージの例(写真=本人提供)

「そもそも夫婦のコミュニケーションに課題があるカップルのためのサービスですから、当然と言えば当然です。『どうせすんなりOKしてくれないだろうから、使ってほしいと頼みにくい』という女性が多い。でも、実は夫に声をかけてみたらすんなり使ってくれたというケースも多いんです。壁は、女性の心の中にある『断られたらイヤだな』という不安感、ということも多いんですよね。『友達に、使ってみてほしいと頼まれたから、お願い』と、“外圧”を言い訳にするとうまくいくようです」

男性に使い続けてもらえるサービス作りも、簡単ではない。

「男性は一つひとつのやり取りについても、すぐに『なんでこんなことに答えなくてはいけないんだ』となってしまう。理由を明確にしないと動いてくれないので、丁寧に説明して納得してもらえるようにしています。また、女性の“しんどさ”の原因を理論的に説明したり、一週間に一回、女性の体調を数値化したレポートを送ったりしています。数字の裏打ちがあると、腹落ちしてもらいやすいようです」

ただ、最初は興味を持って動いても、だんだんとはなれていくユーザーもいる。

「ゲームと同じです。いかにコンテンツを充実させて、飽きずに使ってもらえるか。継続的に新しいコンテンツを追加して、検証しながら進めています」