「格上を倒して評価される」と思い込んでいた卓球選手
自身のバイアスに気づき、パフォーマンスが劇的にアップした卓球の選手がいます。彼女の目標は、世界チャンピオンになること。しかし実力は備わっていながら、なかなか実現できていませんでした。
そこで注目したのが、彼女の思考グセです。「自分は格上を倒してこそ評価されるんだ」と、勝手に思い込んでいたのです。
相手を格上扱いするということは、「相手が自分より強い」と最初から認めているようなもの。そのような状態で試合に臨んでも、自然と及び腰になって、実力が発揮できません。
そこで私は、次の質問をしました。
「相手を格上と位置付けることは本当に正しいことなのですか?」
「最終的に世界チャンピオンになっても、まだ“格上”と戦うのですか?」
無意識に自分でハードルを上げてしまっていないか
彼女はこの質問を聞いて、ハッとした顔をしていました。「世界チャンピオンになる」という目標と、現実の自分の思考の矛盾に気がついたからです。まさに思い込みのフタが外れた瞬間です。このように、私たちは無意識のうちにハードルを上げてしまうことがあります。
彼女はそれ以来、「正真正銘の世界チャンピオンにふさわしい人はどんな人なのか?」と、考え方を変えるようになりました。今では、あらゆる競技の世界チャンピオンを調べることで、自分なりに世界チャンピオン像を作り上げています。目標に対して臆することなく突き進むようになった彼女が世界チャンピオンになるのは、そう遠い未来ではないと確信しています。
「今、思い込みで物事を判断してしまっているかもしれない」
少しでもそう感じたら、思い込みを疑うセルフクエスチョンを行いましょう。