つぶやくだけでポジティブになれる「セルフトーク」

言葉の言い換えによる効果は、計り知れません。ポジティブな言葉を心の中でつぶやくだけでも、パフォーマンスに良い影響をもたらします。

心の中で自分自身に語りかけることを「セルフトーク」といいます。実はこのセルフトークは、潜在能力の発揮に大きく影響しているのです。ポジティブなセルフトークの例は図表1のとおりです。

『潜在能力を100%発揮する方法』(KADOKAWA)より
潜在能力を100%発揮する方法』(KADOKAWA)より

興味深い論文があります。2017年に立命館大学が発表した、セルフトークが脳波にどんな影響を及ぼすかを実験したものです。

それによると、自分自身に心の中でポジティブな言葉をかけたときとネガティブな言葉をかけたときとでは、脳波に変化があることがわかりました。

ポジティブなセルフトークは、自信を作ったり、不安をやわらげたりする効果があります。さらにポジティブなセルフトークを行うと、パフォーマンスの改善・向上につながるという考察もあります。

この実験の参加者は、19~25歳の健康な男性。日常的にセルフトークを行っているアスリートのほか、運動をする習慣も、セルフトークをする習慣もない人も含まれていたため、この情報はアスリートではない読者にも参考になりそうです。

人は無意識で1日に数万回セルフトークをしている

そうは言っても、そのときの状態によっては、無理にポジティブな言葉を言い聞かせることはとてもハードルが高いと思います。

そこでおすすめなのが、「一人称のセルフトーク」と、発する言葉の語尾に「受け入れます」を付け加えることです。

まず、「一人称のセルフトーク」ですが、これは、セルフトークするときに、自分の名前を付け加えるというものです。

「絶対に勝てる」と思うより、「颯人(ここにあなたの名前が入ります)は絶対に勝てる」と思ったほうが動機付けになり、結果も出やすくなります。加えて、語尾に「受け入れます」と付け加えます。

「私は目標を100%達成します」と言い切ることに抵抗を感じる人もいると思います。語尾を少し変えて、「受け入れます」とするだけで、抵抗感が薄れるのではないでしょうか。この方法は、私がメンタルコーチングを行っている選手もよく使っている手法です。

「颯人は絶対に勝てる」よりも、「颯人は絶対に勝てる自分を受け入れます」とすることで、より自然と、自分の中に言葉がスッと入っていく感覚を得られると思います。

人は一日に数万回ものセルフトークを行っていると言われています。それだけの回数すべてとは言わないまでも、少しずつポジティブなセルフトークを意識するとどうなるでしょうか。きっと、これまでとは違う結果を得られるはずです。