正しいマスクの着け方
マスクには、上下も裏表もないように見えますが、構造的に上下も裏も表も存在します。マスクの性能評価実験をしていて、マスクは正しい向きで、正しく着用したときに、最も防御性能が引き出せることに気づきました。
マスクをよく観察すると、顔にフィットさせるためのノーズクリップやプリーツ、マスク・フィルター部分の多層構造や形状、耳ひもの伸縮性など、呼吸器を守るための多くの工夫がされています。しかし、裏表を逆に着けてしまうとフィッティングが悪くなり、マスクと顔とのすきまから空気を吸ってしまうことにもなりかねません。正しい着け方を覚えましょう。
マスクの基本的な名称
① ノーズフィッター
マスク上部につけられている、細くて柔軟性のあるプラスティック。鼻の形に沿わせてマスクと顔の間のすきまをなくす役割をもつ。
② 耳ひも
基本的に、ひもがついている側が内側。メーカーによっては外側の場合もあるので、着ける前にパッケージで確認することを習慣に。
③ プリーツ
プリーツの広がり具合を調整することで、顔の形や大きさに合わせやすいようにつくられている。あごが隠れるまで大きく広げて着用。
マスクの着け方
①マスクの裏表や、上下の向きを確認する
表にマークが入っていたり、裏に「うら」と記載されている場合も。マスクの上下はノーズクリップで確認。入っているほうが上。
②マスクが鼻の形に沿うように軽くくせをつける
マスクの表を外側にして半分に折り、軽くくせづけをする。ノーズクリップは鼻の上部は山折り、鼻の脇は谷折りにくせづけておく。
③鼻をすっぽり覆うようにマスクを装着する
マスク上部を目のきわまで上げ、指でマスクを鼻に向かって押さえ、すきまができないように鼻に沿ってノーズクリップを形づくる。
④片手で上部を押さえながら、プリーツをあごまで下げる
マスク上部は鼻の付け根の位置に。指で上部を押さえながらプリーツを下に広げていき、あごの奥まで伸ばしてすっぽりとマスクで覆う。
⑤両手でマスクを顔や鼻に沿わせて微調整する
手のひらでマスクを顔の中心から耳側に向かってなでつけ、マスクを顔の形に沿わせていく。顔の側面はすきまができやすいので注意。
⑥すきまなく装着されているか、最終チェックをする
強めに息を吸ったり吐いたりして空気が漏れ出す場所があれば、マスクの位置やプリーツの伸ばし具合、ノーズクリップを再点検。
すきまに注意し漏れ込みを防ぐ
不織布マスクのフィルター性能は、年々向上しています。しかし、フィルター性能が高くなればなるほど、空気がフィルターを通るときの圧力損失も上昇し、空気はフィルターを通りにくくなってしまいます。そのため、もしマスクと顔との間にすきまがあれば、呼吸したときに、マスクの外の空気は優先的にすきまからマスク内に侵入してしまいます。
マスクにすきまができやすい箇所は決まっています。鼻の両脇、頬、あごの下などです。
鼻の両脇は、鼻が高いとあきやすい部分。ノーズクリップを鼻の上部は山折り、鼻の脇は谷折りにすることも漏れ込み防止に効果があります。
頬のあたりが開く場合は、マスクサイズが顔よりも大きい場合。対策として“マスクのひもをゆわえて短く”したり“ひもの長さを調節するアイテムを活用する”のがよいでしょう。
あごの下が開く場合は、マスクの形やサイズが顔に合っていないとき。その場合は“マスクのひもを耳でクロスさせて調整”を。万人に合うマスクはありません。自分に合うようにカスタマイズする方法を取り入れましょう。
漏れ込み防止対策
その1:マスクのひもを耳でクロスさせて調整する
ひもを耳の前でクロスさせてかけることで、マスクとあごの下の開きを低減。形やサイズが顔に合っていないマスクを買ってしまったときに試してみたい方法。
その2:マスクのひもをゆわえて調整する
顔に対してマスクが大きいときに使える方法。どの程度ひもを結べば耳が痛くならずに、マスクも下がらずに着けられるのか。着けて確認しながら調整を。
その3:マスクのサイズを合わせるアイテムを活用する
市販のマスクフックや髪留めで耳ひもを調節するのも、ひとつの手。後頭部の上側に向けて、ひもをひくのがコツ。マスクをより顔に密着させることができるので、長時間の着用で耳が痛くなったり、耳ひもの長さが合っていないときにおすすめ。