自虐というマイナス自己開示で共感を得る
ビジネスの世界でも、あえて欠点から伝えることで有利になることがありますが、芸人さん達がお客様に共感されたり、好感を抱かれたりする理由に多くの方が「マイナス自己開示をしている」ことも挙げられます。欠点を笑いに変えているところが好かれるのです。自分の欠点を言えるというのはその人が心を開いている証拠になり、相手も虚勢を張らずに心を開きやすくなるので、親近感が湧くのです。
例えばお笑いコンビのトレンディエンジェル斎藤さんの「ハゲ」ネタ、お笑いコンビのアインシュタイン稲田さんの「顔」ネタなど、外見をネタにすることでブレイクした芸人さん達がいらっしゃいます。漫才やコントは通常3~5分なので、「私、ハゲなんです!」「デブですみません!」「ブサイクなんです!」というように、ぱっと見でわかるような外見ネタを使うことが多いようですが、これはツカミには最適な方法。
さらにそこには自分を卑下したネガティブなものが一切なく「笑い」と「明るさ」がプラスされるで魅力になっていく。
こういった明るい自虐ネタを使えることも芸人さん達の「本番力」と言っていいでしょう。
圧倒的な努力と経験による引き出しの多さ
私は芸人さん達は直感が鋭いな、と思っているのですが、それは圧倒的な努力と経験を積み重ねてきたことによる引き出しの多さから来るものだといえるでしょう。
例えばお笑いコンビのミキさんは、ネタはお客様に合わせて現場で決める「現場第一主義」。ネタをかっちり決めないで登場し、子どもばかりであれば政治の話はしない、というくらい現場に合わせ、3割ほどはアドリブを混ぜるようにしているそうです。毎回、その舞台が唯一無二のオンリーワンのサービスとなり、ますますファンが増えていくといういい循環を生み出しますね。
このように、ほんの3~5分の漫才やコントにすべてを賭けてブレイクしてきた芸人さん達の共通点はたくさんありますが、彼らがこんなにもすごい「本番力」を発揮できるのは、根底に「お客様をハッピーにしたい」という共通した気持ちがあるからではないでしょうか。これは私がずっと営業で大事にしてきたことと同じです。これからも、リスペクトしてやまない芸人さん達に、そのマインドを学ばせていただきたいと思っています。