高学歴の人ほどベンチャーに行くべき

とりわけ中小企業間の取り引きには、経営者が直接登場するケースが少なくありません。したがってベンチャーでの業務を通して、経営者の人脈を大きく広げることができます。

株本祐己『稼ぐことから逃げるな』(KADOKAWA)
株本祐己『稼ぐことから逃げるな』(KADOKAWA)

そして経営者との人脈は、ビジネス戦闘力を上げるうえでの重要な柱となります。

大手企業にいては、20代で経営者の人脈を増やすことは、なかなか難しいケースが多いでしょう。

またベンチャーでは、法人営業からマーケティング、請求書の発行・入金チェックまで、スモールビジネスの全てを自分で行うケースが多いです。

もし将来に起業する場合は、その拡大版になるわけなので、勘所がわかっていて非常に起業しやすいメリットもあります。

ちなみに私は、高学歴の人ほどベンチャーに行ってもらいたいと思っています。

ベンチャーに進む人は、「ベンチャーしか行けなかった人」と「ベンチャーをあえて選んだ人」の2通りに分かれます。

社長は当然、「ベンチャーで頑張って力をつけたい」という後者により大きな仕事を任せ、育てていこうと考えます。高学歴の人がベンチャーに行くと、その“あえて組”であるとみなされやすいのです。

1億PVのサイトの末端部員より100万PVの創設者

「ベンチャーに行ってしまうと、その後大手に行ったり、大手の仕事にかかわったりできなくなるのでは?」と思う人もいるかもしれません。

でも結論からいえば、そんなことは絶対にありません。

ベンチャーで実績をつけさえすれば、その後に大手企業に転職したり、大手企業の仕事に携わることは全く問題なく可能です。

事実、私もベンチャー企業から、大手コンサル会社に転職しています。

知人には、ベンチャー企業から超大手コンサル会社であるマッキンゼーに転職し、そこで超大手企業の案件に携わっている人もいます。

むしろ今後は、大手出身のエリートしか登用しない会社は、着実に淘汰されていくのではないでしょうか。

なぜなら、実力主義ではないからです。

たとえば1億PVを誇るサイトの業務の一端を担っていた人よりも、100万PVのサイトを自分でゼロから立ち上げた人のほうが、ビジネス戦闘力は明らかに高いでしょう。

新たに1000万PVを目指してサイトを立ち上げようとなった際にも、後者のほうが間違いなく人材として有用といえます。

今後は、そういった真に実力のある人材が、大手でますます登用される時代になっていくはずです。

ちなみにベンチャー企業には、新卒1社目で入らなくてはいけないわけではありません。若手であれば、2社目で入っても3社目で入っても、問題ないでしょう。

実際に私のベンチャー時代の先輩たちは、他の企業から中途でベンチャーにやってきた人たちも多く、その後は皆、独立を果たして年収1000万円以上に到達しています。