「すっきり」を感じやすい「刺激性下剤」

一方、大腸の動きを刺激して便を出しやすくする薬のことを「刺激性下剤」と呼びます。大腸の動きが悪いと便が軟らかくなっても便が進んでいかないので、薬の力で蠕動運動を刺激して腸を動かすのです。

薬で強制的に刺激するので、蠕動運動が強いとお腹に痛みを感じることもあります。薬による蠕動刺激は、便が溜まっているかは関係ありません。便が溜まっていない場合は、お腹が痛いだけで便が出ないこともあります。

刺激性下剤を使うと便が大腸の中に留まる時間が短くなるため、便の水分が十分に吸収されずに排泄されることがあります。すると、下痢になってしまいます。

便秘の治療は、「すっきりと便が出る」ことがものすごく重要です。刺激性下剤は便を軟らかくするタイプの便秘薬と比べ、「すっきり」を感じやすく快適に便を出せることが多いです。このため、市販の便秘薬の多くには刺激性下剤の成分が入っています。気持ち良く便が出るのは素晴らしいですが、一つ大きな問題があります。それが次に説明する、「耐性」です。

注意したい「耐性」の問題

耐性とは、薬を飲んでいるうちに徐々に効果が薄れてくるため、飲み始めた当初と同じ効果を得るために量を増やさなければならなくなることをいいます。最初は1錠で効いたのに、だんだん効かなくなり2錠、3錠……と増えていきます。刺激性下剤は連用すると耐性がつきます。

ところで刺激性下剤はどのように効くのでしょうか。それは、刺激性下剤に含まれるアントラキノン誘導体と呼ばれる成分が関係します。ダイオウやセンナ、アロエなどに含まれるアントラキノン誘導体が、大腸の腸内細菌によって分解されて、アントラキノンという物質に変わります。

アントラキノンは大腸の粘膜に吸収され、大腸の筋肉の間にある神経に働きかけて蠕動運動を刺激します。この蠕動運動によって便が速やかに肛門へ向かって運ばれ、また大腸の中に留まる時間が短くなるため、軟らかい便が出ることになります。