NHKは「暗殺を実行できるのはCIAしかない」として放送
逆に、失敗に終わったピッグス湾事件でケネディに恨みを持ったCIAの反ケネディ派がオズワルドを利用して暗殺を敢行したとの見方もある。
NHKは2020年春、「未解決事件・JFK暗殺」という調査報道番組で、オズワルドが逮捕直後、「I'm just a patsy(はめられた)」と叫んだ謎を追い、暗殺事件の黒幕はCIAのジェイク・エスターライン西半球局長とウォルトン・ムーア・ダラス局長の2人のケースオフィサーだと分析した。
2人はピッグス湾事件の責任者で、ケネディが最終段階で攻撃を停止し、CIA幹部を更迭、CIAの解体も検討していたことに恨みを持っていたという事情にも触れている。「暗殺を実行できるのはCIAしかない」という見立てで、中立公正のNHKとしては踏み込んだ内容だった。
当面、最後に残った300点の機密文書解禁が待たれるが、専門家のラリー・サバト・バージニア大学教授は「もし核心部分を暴露するような資料があれば、とっくに廃棄されているだろう」と語った。その場合、文書の全面公開によっても事件は解明されず、永遠に謎が残ることになるかもしれない。