自宅の家賃や光熱費の一部も副業の経費にできる

仕事場を借りていれば、そこから発生する家賃、光熱費などは、言うまでもなく全額必要経費になります。

問題は自宅が仕事場を兼ねている場合です。家事用と事業用の経費が一体となって支出される経費を家事関連費といいます。

たとえば、家賃、光熱費などは、仕事で使ったのか、私用で使ったのかがハッキリしません。そういうものは、「使用面積」「使用日数」「使用時間」などを基準に経費を計上するのが一般的です。順にみていきます。

①使用面積

仕事場の部分と私用の部分の面積比で必要経費を算出します。全体の4割の面積を仕事部屋にしている場合は、家賃の4割を事業費として計上できます。

残りの6割が私用分です。ワンルームマンションの場合は、住居全体が仕事部屋といえるので、家賃と光熱費の按分割合を仕事分7割、残り3割を私用分として按分して大丈夫でしょう。

なお、按分とは「物品や金銭などを、基準となる数量に比例して割りふること」(大辞林)という意味です。

②使用日数

購入した車を平日(5日間)、ずっと仕事に使っている場合は、購入代金等の7分の5が仕事分、残りの7分の2が私用分に按分できます。

「半々でしょう」と税務署からクレームがつけば、「なぜそうしたのか」を説明し、当局が譲らなければ修正すればいいのです。確定申告書に按分の理由を書いておくと、呼び出しを防げるかもしれません。

按分の基準を変えれば経費を多く計上できる

③使用時間

パソコンを1日6時間仕事に使用し、2時間だけ私用に使っているのであれば、パソコンに関係する費用は「事業用3、私用1」で按分できます。

按分割合の計算をする場合には、按分の基準が合理的であれば、どの数字を基準にしても構わないとされています。

取材用の新車を購入した場合、仕事用と私用に按分して費用を計上しますが、採用する基準によって大きな違いがでることがあります。

2つの按分基準で比べてみます。

・「1週間の使用日数」を基準とした場合
仕事5割 私用5割
・「走行距離」を基準とした場合
仕事9割 私用1割

この場合は、「走行距離」を採用した方が、必要経費を多く計上できるので有利です。税務署から「なぜ9割の経費なのか?」と訊かれたら、「走行距離で按分しています」と答えれば問題ありません。

税務署に説明できる合理的な基準と按分割合であればいいのです。

電話料金は、通話先の番号や料金が記載された明細書で経費かどうか明確になります。通信会社に頼めば、郵送してくれます。

必要経費に計上「する・しない」は、自分で決めていいのです。通常は売り上げの40~50%が経費の目安になります。

「なぜこれが経費になるの?」と税務署から訊かれたとき、その根拠と証拠物を明示できることが大事です。最悪の答えは「さあ、わかりません」。