飢えて共食いをしていた形跡もあった
「猫たちは、頭以外は白骨化している子がいたり、そのままグッタリと亡くなっている子たちがいたり、壮絶で本当にかわいそうでした。完全に骨と化している子もいたんです。僕は数々の特殊清掃に携わっていますが、臭いも強烈でした。よく見ると、猫は飢えて共食いをしていた形跡が見てとれました。切なかったです」
住人の50代の男性は、若い頃はアクティブなタイプで友達も多く、外とのつながりもあった。しかし、晩年はこのアパートに引きこもるようになったらしい。そんな中、ジワジワと寂しさが募っていったのだろう。
男性はいつからか、猫たちを家で飼うようになった。猫たちは避妊手術せず、室内に野放しで、あれよあれよという間に数を増やしていった。男性亡き後の猫たちの断末魔を思うと、居たたまれない気持ちになってしまう。しかし、男性もそんな猫たちの悲惨な結末を望んだわけではないはずだろう。それがとても悲しい。
しかし、こういった孤独死後にペットが餓死するケースは、決して少なくない。
神奈川県の高級分譲マンションの一室。住民の50代の女性は一人暮らしで、孤独死して死後2週間が経過していた。玄関を開けると、すさまじいゴミがあった。それをかき分けて前に進むと、小さなケージがあり、中には白と茶色の小型犬2匹が寄り添うように亡くなっていた。
「頭と頭をお互いにくっつけて、寄り添うように亡くなっていたんです。それを見て、泣いてしまいましたね」
女性は、ゴミ屋敷でセルフネグレクトに陥り、精神的にも追い詰められて、犬たちを放置。そして、犬たちはゴミの山に埋もれて、亡くなっていた。きっと飢えて、のどが渇き、苦しかっただろう。それでも最後まで寄り添っていた2匹の最期の苦しみを思うと、胸が締めつけられる。
高級マンションの一室で孤独死した30代女性の場合
特殊清掃人の上東丙唆祥氏も、ペット屋敷の清掃を数多く手掛けてきた人物だ。上東氏は、つい先日も関東某所の高級マンションの一室で30代の女性が孤独死した現場に遭遇したという。
女性は、犬やフェレットなど10匹以上を飼っていたが、ソファは中のスポンジがむき出しになるほどに、食い荒らされていた。床にはふん尿が散らばり、生前から衛生的に飼育しているとは思えない状況だった。ペットたちは餓死寸前だったが、命からがら助かったという。