「小売りの王様」というプライドを捨てる覚悟も必要

そこで、越後屋(現在の三越)が「店前売り」「現金掛値なし」のビジネスモデルを導入したのです。その結果、いい商品が手頃な価格で消費者の手に届くようになり、大衆消費の花が開きました。小売りの革命を起こしてきた百貨店。今こそ、百貨店のもつDNAの底力で自らを改革して立ち上がってほしいところです。

百貨店は、消費者が都心の一等地にわざわざ出向くことで、“ハレ”の空間を体験させる場所でした。そのビジネスモデルが破綻しており、ユニクロやニトリといった量販店が都心の百貨店にテナント入居している光景は、日常のものとなっています。そのような中で、一等地の不動産を保有しながら存在する必要があるのか、問い直す必要があります。

例えば、三越伊勢丹HDであれば、建物・土地で約7000億円、エイチ・ツー・オー リテイリングであれば、建物・土地で約2500億円の資産があります。一等地のブランド価値がなくなっている今、「小売りの王様」というプライドを捨て、不動産などの資産を売却も1つの手段でしょう。

【関連記事】
まもなく絶滅する「普通のサラリーマン」を待ち受ける三重苦
9000万円の借金を抱えて「全店閉店」に追い込まれた経営者のその後
100社を全実名で大公開!コロナ不況で退場する会社、生き残る会社
勝ち組のJAL、負け組のANA…不振業界で明暗を分けた"財務戦略"の差
なぜ西松屋はいつもガラガラなのに、がっちり儲かっているのか